ジャズがラッセル・ウェストブルックに差別発言をしたファンの永久追放を決定

2019/03/13
NBA&海外
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ラッセル・ウェストブルック

写真=Getty Images

ドノバン・ミッチェル「個人として心が痛んでいる」

3月11日にソルトレイクシティのヴィヴィントスマート・ホームアリーナで行われたサンダーvsジャズの一戦で、ラッセル・ウェストブルックが、シェイン・キーゼルというジャズファンと激しい口調でやり取りを交わした動画が話題になった。

試合後ウェストブルックは、キーゼル氏から「昔のようにひざまづけ」という差別的な野次を受けたと主張。ジャズはただちに行動に移し、試合翌日の12日、ホームアリーナで今後開催されるいかなるイベントにもキーゼル氏の参加を認めない永久追放処分を科すことを決定した。

またNBAは、キーゼル氏の野次に激怒し、この男性と隣に座っていた妻を脅かす類の暴言を吐いたウェストブルックに対し、ファンへの不適切な発言をしたとして2万5000ドル(約280万円)の罰金処分を科したことを発表している。

試合後『ESPN』の取材に応じたキーゼル氏は、ウェストブルックが主張した差別的な表現を使わなかったと主張し、妻と自身を脅迫したとして、ウェストブルックを強く非難した。仮にキーゼル氏の主張が正しかったとしても、『Soprts Illustrated』によれば、ジャズは以前から同氏を含む数人のファンを、要注意人物として問題視していた。実際、今後も同会場の行動規範に反する言動を繰り返した場合、退場させる事態になり得ると通達していたという。

ウェストブルックは試合後「彼のように、会場に来て選手に言いたい放題の観客に対して何らかの結論を出す必要があると思う。自分だけではなくて、選手に対してフェアではない」と語った。

「もし再び同じことをしないといけない状況になったら、同じことを言うだろうね。自分は、自分のため、家族のため、子供のため、妻のため、両親のためなら、いつだって立ち上がる。誰だって同じことをすると思っている。これが、今回の件に関する自分のスタンス。彼の妻を殴ると言ったことに関してだけれど、僕は一度だって女性に手を上げたことはない。これからもない。一度だって家庭内で暴力を振るったことはない。ただ、彼の発言があった後、その妻も同じことを自分に言ってきた。それがこの一件の始まりだ」

サンダーのパトリック・パターソンは、ウェストブルックを支持。「ファンは、選手の家族、子供達に関してまでも、くだらないことでも好き勝手に言える。もし『昔のようにひざまづけ』なんて言われたら、どういう反応を示すと思う? ただ黙ってドリブルしていればいいのか? 自分たち選手を除いて、他の人間の言動には責任がない状態だ。ファンはあらゆる部分において守られているのに、自分たちは守られていない」と、SNSに投稿した。

ジャズのドノバン・ミッチェルは、この件に心を痛め、今後球団とともにホームアリーナの環境改善に力を尽くす考えをTwitterに投稿した。

「3月11日の試合で起こった出来事に、個人として心が痛んでいる。大好きなこのコミュニティで生活する黒人男性として、自分の夢を叶えてくれた球団の一員として、今回の件は身につまされる。人種差別、そしてヘイトスピーチは人を傷つける。僕たちのアリーナで今回のようなことが起こったのは、これが初めてではない。僕が愛するユタは、快適で、誰でも受け入れてくれる街だ。昨夜の件は、僕たちのファンベースを指し示すものではない。これからユタでプレーしたいと考えるアスリートたちに向けて、ネガティブな評判を生み出したくはない」

「今回の憎むべき件に迅速に動いてくれた球団、そしてNBAに感謝している。自分たちのアリーナを、ファンと選手が歓迎される場所にするために力を貸してくれて感謝している。僕は、他チームの選手とともに立ち上がる。僕たちはヘイトスピーチや、いかなる人種差別的な言動にも晒されるべきではない」

「今後はチーム、チームメート、リーグと協力しながら、僕たちのアリーナ、そしてコミュニティが開放的になるように努める。それは、ヘイトスピーチや人種差別を禁ずるということでもある。解決する方法が分かっているわけではないけれど、今年のシーズンオフには、僕の財団である『SPIDACARES』と、この国の人種不平等に関して何かできることがあるかを探る。どうか、みなさんにも僕に続いてもらいたい。僕たち全員が立ち上がって、声を上げれば、変化が起こるのだから」

アメリカ社会に蔓延する問題だけに、簡単に結論を下せることではないかもしれない。しかしNBAは差別のない、フェアな社会を重んじるプロスポーツ団体の一つだ。今回の件が、人種問題について今一度考えるきっかけになることを望みたい。