レブロン「一緒にプレーするためなら何でもする」
レイカーズは大方の予想通り、NBAドラフトの2巡目55位でレブロン・ジェームズの長男、ブロニー・ジェームズを指名。NBAで史上初めて、親子がチームメートとなる。
レブロンは2年前に「ブロニーがどこにいるとしても、そこが僕のいる場所だ。息子と一緒にプレーするためなら何でもする」とコメント。それ以来、ブロニーは同世代のどの選手よりも注目されることになった。
南カリフォルニア大で1年プレーしてNBAドラフトにエントリー。昨年夏、練習している際に心臓の問題で突然倒れたことで大学でのプレーは制限されたが、最終的な検査をクリアしてバスケを続けられることに。この病気で評価を落としたが、ドラフト・コンバインから再評価の流れとなった。
今オフにフリーエージェントになることのできるレブロンの引き留めを目的とした『縁故採用』をレイカーズは行ったのかもしれない。ブロニーはこのレッテルから逃れられない。5月の時点でブロニーは「父親と知り合いだからって、その息子をドラフト指名しようとするかな? 勝負の世界でそんなことは起きないよね。僕はそのつもりで努力してきた。選手としての能力、人間としての魅力でドラフトされたい」と語っている。
実際のところ、この世界で縁故採用はしばしば見られるものだ。レイカーズを買収してオーナーとなったジェリー・バスは、この時に「やってみたい」と手を挙げた娘のジーニー・バスをフロントの一員に加えた。当時は何の実績もない若者だったジーニーは、今はレイカーズのレガシーを引き継ぎ、オーナーとしてNBA最大のクラブを取り仕切っている。
ただ、チャンスは『縁故採用』で与えられても、その先のすべては実力で勝ち取る必要がある。アンソニー・デイビスはブロニーについてこう証言している。「ディフェンスを読み、正しいパスを出す能力があり、優れたプレーメーカーになれる。レブロンを父に持つことで大きな重圧がかかるが、それとは関係なく自分自身でNBAで道を切り開いていく意志がある。レイカーズでプレーする準備はできていると思うよ」
レイカーズはダービン・ハム解任を機に、選手育成を重視する方針を打ち出している。コネチカット大のダン・ハーリーがヘッドコーチ候補になったのもその方針あってこそだし、新ヘッドコーチになったJJ・レディックも育成への考えを語っている。レイカーズには勝利の歴史があるが、それと同時にドラフト時点で高い評価をされていたわけではない選手を育て上げた実績もある。オースティン・リーブスはドラフト外から主力へと成長した選手だ。他にもアレックス・カルーソやジョシュ・ハート、カイル・クーズマといった選手たちをレイカーズは育て上げている。
ブロニーが加わったことで39歳のレブロンは気持ちが若返り、これまでにないモチベーションを持ってシーズンに臨むことができる。そして『レブロンの息子』ではなくブロニーとして、大きなポテンシャルを秘めた若者がNBAでどんなキャリアを築くのかに注目したい。