栃木ブレックス

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

序盤から圧巻のディフェンスを見せ栃木が快勝

栃木ブレックスvsシーホース三河のゲーム2。ボールマンへのプレッシャーを高めて、終始ガード陣にストレスを与え続けた栃木が、金丸晃輔、桜木ジェイアールの大黒柱2人を欠く三河を圧倒し、79-56で連勝を収めた。

初戦ではディフェンスがソフトになり、内外から簡単に得点を許し第1クォーターで33失点した栃木だったが、この日は出だしからエンジン全開。安齋竜三ヘッドコーチが「昨日は出だしでかなりやられたので、そこの修正はできた。プレッシャーのあるディフェンスをある程度続けられた」と言うように、ボールマンへのハイプレッシャーと受け手へのディナイを徹底し、ターンオーバーを誘発して、三河オフェンスを停滞させた。

また、ジェフ・ギブスとライアン・ロシターを筆頭にオフェンスリバウンドで12-5と上回り、ターンオーバーからの得点でも12-0と盤石な試合運びを見せた栃木は、6人が5得点以上を記録するバランスの良いオフェンスを展開し、41-24と前半を圧倒した。

第3クォーターに入っても、ディフェンスの強度が落ちない栃木。体調不良ながら強行出場したケネディ・ミークスに仕事をさせず、前半では奮闘した岡田侑大やアイザック・バッツらへのマークを強化し、何度も24秒バイオレーションを誘発した。

三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは「ガード陣が強い栃木さんに、ポイントガードの部分でイジられた」と、終始オフェンスが遂行できなかったことを認めた。

「オールスイッチで、スクリーンを使ってもディナイでしっかりついてきました。ボールが回らないことが多く、自分がボールを持つ時間が長くなって、単調なオフェンスになってしまいました」と、生原秀将が反省するように、このクォーターは9得点しか奪えなかった。

栃木は堅い守備から自分たちの攻撃につなげる理想のオフェンスでたたみかける。ズレを作ってペイントに侵入し、ヘルプが来たらパスをさばくシンプルかつ強力なハーフコートオフェンスで、遠藤祐亮が2本、ロシターが1本の3ポイントシュートを沈める。得意のアーリーオフェンスも多々見られ、攻守が噛み合い25-9とこのクォーターを圧倒し、66-33と早々に勝負を決めた。

栃木ブレックス

最後まで集中力が続かず「最後は残念な感じ」

それでも、最終スコアは79-56。三河の鈴木ヘッドコーチが「最後に若い選手たちが激しくやって、良い形で終わってくれた」とコメントしたように、最終クォーターだけで9得点を挙げた岡田を筆頭に、普段プレータイムがあまりもらえない森川正明や特別指定選手の熊谷航など若手が最後まで全力プレーを見せ、23-13と上回って意地を見せた。

完勝した栃木だったが、安齋ヘッドコーチは「難しいことかもしれない」と一定の理解を示しつつ、最後まで集中力が続かなかったことを課題に挙げた。「途中まではすごく良かったし、やろうとしているバスケットを体現していた。結局、点差が離れたり、メンバーが変わったりした中で、集中力が足りなくなった。そこでももっと持って行けるくらいの強さがないと、千葉、東京、琉球、そういうチームと勝負になった時に勝てない。最後は残念な感じでした」

チームハイの17得点を挙げたギブスも「第4クォーターだけを見ると23点取られている。相手に勢いを渡さないように、やり切る力を養わないといけない」と、同様の見解を示した。

そして、「それまでできているんだから、できないのは理由があって、それは完全に気の緩みだと今日は思う。そこまで集中してやってくれないと、自分たちが行きたい場所にはいけないということを本当に早く分かってほしい」と、頂点を目指す安齋ヘッドコーチは、大勝してもなお、兜の緒を締め続ける。