勝負どころのラスト1分で『エースの働き』を披露
3月9日、琉球ゴールデンキングスは富山グラウジーズとの最後までもつれる熱戦を72-69と制した。ここ一番での活躍で勝利の立役者となったのが岸本隆一だ。
練習中の負傷により前節を欠場し、この日もプレータイムを制限した並里成に代わって3試合連続の先発を務めた岸本は、全14得点のうち8得点を第4クォーターに記録。同点で迎えた残り1分に勝ち越しの3ポイントシュートを沈めると、1点差に詰められた残り30秒にはインサイドに切れ込んでレオ・ライオンズのアンスポーツマンライクファウルを誘発。これで得たフリースローをしっかり2本成功と、まさに勝利に直結する仕事を遂行した。
この試合、琉球は集中力が欠ける場面もあり「負けてもおかしくなかったゲーム」と佐々宜央ヘッドコーチが試合後に振り返るほど。それでもラスト1分のパフォーマンスは「最後、岸本が責任を持ってしっかりプレーをコールして、周りも彼がシュートを打てる状況をしっかり作り上げた。終わり方は非常に良かった」と、岸本を軸に高い遂行力を見せたことを評価した。
「クロスゲームを勝てたのは、チームとして自信になります。特にチャンピオンシップはこういうゲームばかりだと思うので、どういった状況でも勝ったのは良かったです」
このように試合を総括する岸本だが、「終盤、自分のシュートは入りましたけど、ゲームメークの部分ではもっとチームを落ち着かせなければいけない。そこでは課題が残ったので、明日はもっとより良い選択をしたい」と反省も忘れない。
とはいえ、残り1分からの2つのシュートは「最後は冷静にいられました。まず自分の武器である3ポイントシュートを決めて、その後で相手が寄って来ることを見越してしっかり中にアタックしていく。自分の想定した通りにできました」と会心のプレーだった。
「終盤で燃えるタイプですし、試合を決めたい」
岸本は接戦での終盤で決定的なシュートを決めることに強いこだわりを持っている。だからこそ、「個人的に自信を取り戻すゲームになりました」と話し、「ここ一番でシュートを決める岸本隆一を表現できた。終盤で燃えるタイプですし、試合を決めたいと思っています。あとはこれを続けていかなければ意味はないです」と続ける。
年末にインサイドの要ジョシュ・スコットが残りシーズン絶望の故障で離脱して以降、一時は5連敗を喫するなど苦しんだ琉球だが、これで4連勝とようやく持ち直してきた。今日も勝って連勝できれば、チームにとって大きな弾みとなる。そのためには並里が万全でなく、古川孝敏も出場するのが難しい今の状況にあっては、ここ2試合で3ポイントシュート15本中8本成功とシュートタッチが良い岸本が引き続き攻撃面で大きなインパクトをもたらすことが重要だ。