ジェイソン・テイタム

テイタムが31得点8リバウンド11アシストを記録

セルティックスが3勝1敗と王手を掛けて、ホームのTDガーデンに戻って迎えたNBAファイナル第5戦。セルティックスはジェイレン・ブラウンとジェイソン・テイタム、ドリュー・ホリデーと個々がタレントを生かし、同時にチームとしても強いまとまりを見せ、攻守にレベルの高いバスケで快勝を収めた。

これまでのシリーズでもそうだったように、立ち上がりからジェイレン・ブラウンが激しいマークでルカ・ドンチッチにボールを持つことも自由にさせず、マブスの攻めのリズムを狂わす。マブスもセルティックスの武器である3ポイントシュートをケアするが、ホリデーが空いたゴール下に入り込み、そのタイミングを逃さずパスを送ることでイージーな得点を生み、セルティックスが9-2と先手を取った。

マブスはデレック・ライブリー二世とジョシュ・グリーンを早々に投入。彼らがチームのプレー強度を上げ、グリーンの3ポイントシュート2本で反撃開始。同じくベンチ出場のダンテ・エクサムの3ポイントシュートもあり1点差まで詰め寄るも、ここからセルティックスは守備を引き締め、良いディフェンスから走る展開に持ち込んで9-0のランと突き放す。

第1クォーターを終えて28-18とセルティックスが2桁のリードを奪った。8アシストを記録してターンオーバーなし、ファストブレイクで8得点。難しいシュートを決めきる力ではマブスが上だったが、シュート力に頼ることなく教科書通りのプレーで優位を作り出した。

第2クォーターに入ってマブスが押し返し始めるも、ドンチッチのリバウンド奪取からPJ・ワシントン、デリック・ジョーンズJr.と繋ぐマブス最初のファストブレイクが決まると、セルティックス指揮官のジョー・マズーラはすぐさまタイムアウトを取って守備の認識のズレを修正する。こうやってわずかな綻びも見逃さない試合運びで優位を保ち続けた。第2クォーターの最後はペイトン・プリチャードのハーフコートショット。セルティックスが67-46とリードを広げて前半を終えた。

後半もセルティックス優位は揺らがない。ドンチッチを主にマークするブラウンが第3クォーター序盤に個人ファウル3つとなるも、ベンチに下がるでもなく守備の強度を落とすでもなく集中してマブスのキーマンにプレッシャーを掛け続ける。デリック・ホワイトはライブリー二世との接触で歯を折りながらもハードワークを続けた。

『教科書通りのバスケ』は、ともすれば爆発力と魅力を欠くものだが、テイタムはTDガーデンに極上のエンタテインメントをもたらした。チームオフェンスを優先しながらも、相手守備にズレがあると見れば積極果敢に仕掛け、鮮やかな得点を重ねていく。テイタムは45分のプレーで31得点8リバウンド11アシスト2スティール。完璧なプレーで勝利に貢献した。

残り2分半でマブスは主力を下げた。この時点で106-85。最終スコアは106-88となった。レギュラーシーズンで最高勝率となる64勝18敗、プレーオフでも3敗を喫したのみで16の勝利を積み上げる、盤石の安定感でセルティックスがNBA優勝を決めた。