馬場雄大

「ディフェンスでもう少し見せていきたい。僕のサイズでフルコートをやることは武器」

バスケットボール男子日本代表は6月3日から第2次強化合宿を開始し、パリ五輪に向けて本格的に始動した。パリでチームの骨格となるのは、昨年のワールドカップ2023で主力となったメンバーたちで間違いない。そして、迫力満点のドライブと激しいディフェンスを持ち味とする馬場雄大は、ウイングポジションにおける中心選手の1人だ。

代表経験豊富なベテラン、Bリーグファイナルを戦ったメンバーは今週から合流した中、馬場はベテラン組だが、他の選手より早いタイミングで代表活動に入った。そして、雰囲気の良さに手応えを感じている。

「僕はちょっと早めから参加していますが、その時から若い選手のエネルギーであったり、中堅選手のチームを引っ張るという力を感じています。実際に合宿が始まってもすごく良い雰囲気になっています。(参加メンバーは)これまでトム(ホーバス)のバスケをやっているだけあってテンポよくいろんなことをやれていて、チームとして非常に良い状況です。自分も楽しみながら良い影響を与えられていると思っています」

2019年から海外でプレーしていた馬場だが、特に2021年、2022年は故障やチーム事情もあってプレータイムに恵まれず、試合勘が乏しいまま代表に合流することが少なくなかった。しかし、今シーズンは長崎ヴェルカで55試合出場と、1シーズンを通してプレーしており、コンディション面でも良い流れのまま代表活動を迎えることができている。

「1シーズン、日本でやってきてその流れで代表に入れて、(2月のアジアカップ予選)ウインドウにも参加しました。チームは違いますが、これまでプレーしたことのあるメンバーばかりですし、今の方がやりやすいです」

パリ五輪は参加国が12チームで、ワールドカップよりもさらにレベルが高い。目標である8強入りへ、日本代表としてあらゆる面で底上げが求められるが、馬場個人としては次の部分のステップアップを特に意識している。

「ディフェンスでもう少し見せていきたいです。今までフルコートであまりプレッシャーをかけてこなかったですが、僕のサイズ(196cm)で、それをやることは1つの武器だと思います。オフェンスではドライブや3ポイントシュートの精度をもう少し向上させていきたいです」

そして、ワールドカップで48年ぶりの五輪自力出場をつかみとったことでチームに好循環が生まれていると言う。「良い形で終えられたことは自信になります。今は精度を高めているところですが、どれだけ行けるのかワクワクしています」。それでも、東京五輪での3連敗も真摯に受けとめ「トムがようく言うアンダードックの気持ちで、失うモノはない姿勢で勝利を目指してやっていきます」と続けた。

馬場は「パリでのパフォーマンスで自分のバスケットボールキャリアが変わるというのはあります」と、日本代表を高みに引き上げることで、自身の目指すステージへの道が拓けると考えている。チームとして新たな歴史を作り、個人としての飛躍のきっかけとなる五輪にできるか。馬場はここ数年間で最も順調な準備期間を過ごしている。