ブライアン・キーフ

「ファンが誇りに思えるようなプレースタイルを」

ウィザーズは今シーズン途中にウェス・アンセルドJr.を解任し、それ以後に暫定で指揮を執ったブライアン・キーフを来シーズンの正式なヘッドコーチに据えることを決めた。

キーフは48歳。スパーズのグレッグ・ポポビッチの下でビデオコーディネーターを務めた後、多くのチームでアシスタントコーチを務めてきた。長く務めたのはサンダーで、ケビン・デュラントとラッセル・ウェストブルック、ジェームズ・ハーデンといった選手たちの育成に携わった後、レイカーズではブランドン・イングラムを始めとする当時のヤング・コア、再びサンダーに戻ってシェイ・ギルジャス・アレクサンダーと、多くのタレントの育成に手を貸している。

今シーズンのウィザーズは、史上最悪の出来に終わったピストンズの14勝から一つ上積みしただけの15勝という散々な結果に終わっている。キーフが指揮を執るようになってすぐに16連敗を経験し、最後も6連敗で終わった。すでに目標を失ったチームを軌道に乗せ、勝たせるのは難しかった。

キーフは昨夏までネッツのアシスタントコーチで、自分をウィザーズに引っ張ってくれたアンセルドJr.が数カ月で解任されるとは予期しておらず、この時には「良き友人が解任されたことに心を痛めている」と率直な気持ちを語っていた。

それでも彼は選手の信頼を失っていたアンセルドJr.に代わり、チームの混乱を収拾した。「選手との信頼関係を築き、それぞれバスケに集中できる環境を作る。言うべきことは選手にストレートに伝えて成長を手助けする」との言葉通り、チームは失われていた規律を取り戻し、選手たちが成長にフォーカスするようになった。

ジョーダン・プールは「若い選手たちに対して一生懸命に取り組むことがいかに大事かを、自らの行動で示してくれた」と、カイル・クーズマも「シーズン前半は途中で戦うのを止めてしまうような感じだったけど、そんな試合へのアプローチは間違いなく変わった」とキーフの手腕を評価している。

現地6月4日に行われた就任会見でも、キーフは暫定ヘッドコーチだった時と変わらず「これは人間関係ありきの仕事なんだ」と持論を語った。「良い関係を築かなければ、改善すべき点を掘り下げることはできない。私はすでに選手全員と会話をした。私たちはまず人として彼らに寄り添い、その上でバスケ選手としての成長に取り組みたい」

そして、今シーズン後半に指揮を執った上でのウィザーズの目指すべきバスケについて「オフェンシブに速い展開のバスケをするチームでありたい。もちろんディフェンスも軽視しない。それが勝利に繋がるからだ」と語る。「ファンが誇りに思えるようなプレースタイル、チーム運営をしたい。今シーズンはファンに支えてもらったが、期待に応えられなかった。このクラブのすべての人たちと力を合わせ、準備万端でシーズンを迎え、エキサイティングな戦いがしたい」

アンセルドJr.の下でウィザーズの再建は3年間ストップしてしまったが、キーフは戦う意欲、努力する姿勢をチームに植え付けるところから、一つずつ着実に積み上げていこうとしている。再建にはまだ時間がかかるにせよ、ウィザーズは少しずつ良い方向へと進み始めているようだ。