ルカ・ドンチッチ

キャリア6年目の初優勝を狙う「もうすぐ結果が分かる」

マーベリックスはティンバーウルブズを4勝1敗で撃破し、NBAファイナルに駒を進めた。3連勝の後で1敗を喫し、ミネソタに移動しての第5戦。エースのルカ・ドンチッチは第1クォーターで試合の趨勢を決めてしまうほどのパフォーマンスを見せた。

ティップオフから6分半は18-18と互角の攻防だったが、マブスは残りの5分半を17-1と圧倒した。ランの開始はドンチッチからデレック・ライブリー二世へのアリウープ。PJ・ワシントンのダンクを挟み、ドンチッチがステップバックでのロングツーを皮切りに、ロゴからのディープスリー、スクリーンを囮に使ってマークを外してトップ・オブ・ザ・キーからの3ポイントシュートと3本連続で『ルカ・マジック』を決める。第1クォーターは35-19、ドンチッチは3ポイントシュート4本成功を含むフィールドゴール11本中8本成功の20得点と最高のパフォーマンスを見せた。

「ファイナルに行くぞ、というルカからチームメートへのメッセージだった」とマブス指揮官のジェイソン・キッドは言う。ロゴスリーの場面をダニエル・ギャフォードは「我ながら良いスクリーンを掛けることができたと思って振り返ったら、ルカがシュートを放つところだった」と笑った。マブスの全員を笑顔にさせたドンチッチは、ウルブズにとっては厄介すぎる相手だった。相手チームのファンとのトラッシュトークは『お行儀が良い』とは言えないが、シュートを決めるたびに客席に何かを叫ぶ気持ちの強さがドンチッチの調子をかつてないほどに高めていた。

相手ファンと繰り広げたトラッシュトークの内容を問われたドンチッチは笑顔でこう答えた。「言えないよ。言ったら相手を訴えることになる。でも、みんなもう分かっていると思うけど、その手のやり取りは僕に力を与えてくれる」

前半を69-40で終え、後半もマブスのワンサイドゲーム。最後の試合とあってウルブズは大差が付いていても主力をプレーさせ続けたが、残り3分にドライブでゴール下まで侵入したドンチッチのポケットパスからライブリー二世のイージーダンクが決まり、117-92となったところで、ウルブズも勝負をあきらめざるを得なかった。

36得点10リバウンド5アシスト2スティールと活躍したドンチッチは、このシリーズで平均40分プレーして32.4得点、9.6リバウンド、8.2アシストを記録。当然のようにカンファレンスファイナルMVPに選ばれた。「嘘をついても意味がないから正直に言うけど、最高の気分だ」とドンチッチは言う。

2年前にもマブスはカンファレンスファイナルに進出したが、ウォリアーズに1勝4敗で敗れた。この時もドンチッチは平均32.0得点、9.2リバウンド、6.0アシストと突出した数字を残したが、チームはまだ経験不足だった。「今でも僕らは若いチームで、初めてプレーオフを戦う選手も多い。でも、良いチームなのは分かっていた。僕らはみんなバスケが好きで、この仲間で一緒にプレーするのが好きなんだ」

NBAで6年目、25歳になったドンチッチは『戴冠』の準備が整っている。「ユーロリーグのトロフィーは持っているけど、本当に欲しいトロフィーはまだ持っていない」とドンチッチは言い、自信満々の微笑みとともにこう語った。「もうすぐ結果が分かるよ」