取材・写真=鈴木栄一 構成=鈴木健一郎

接戦を制しての勝利も「点を取られすぎました」と反省

栃木ブレックスは先週末に行われた第20節の三遠ネオフェニックス戦で連勝を収めた。リーグ再開後に6勝1敗と好調の三遠を相手に、第1戦は93-69で大勝、第2戦も93-88と接戦をモノにしている。

第1戦を終えて「結果的に点差を付けて大勝できましたが、受け身にならずにディフェンスから攻撃できるように。しっかりと反省して次につなげていきたい」と語った田臥勇太。第2戦を終えた後も「まずは勝ち切れたことは良かった」と前置きしつつも、「点を取られすぎました」と88失点を喫した内容を反省した。

勝っても驕らずチームの伸びしろにフォーカスする。その代わり、負けても必要以上にネガティブにならずに切り替える。これがいつも変わらない田臥のスタンスだ。

第1クォーターで29-18と圧倒したものの、残る3つのクォーターすべてで三遠を下回った。スリリングな接戦を勝ち切ったが、反省すべき点は多い。

「ボールマンに対してもそうだし、ヘルプポジションだったり、コミュニケーションの部分とか、細かい部分を詰めていかないと」と田臥は言う。「点差を付けて勝った後、次の日に同じように勝てるかと言ったらそんなに簡単ではないし、甘くないです。勝った次の日にどんな準備をしてどう戦うか、そこはすごく良いレッスンになりました」

試合の状況と相手の出方を瞬時に判断して生まれた得点

最後まで気の抜けない接戦。ただ、引き離すことはできなくても第1クォーター途中に抜け出した後は常にリードを保ち、追い付かれることはなかった。思うように失点を抑えられなくても、試合はコントロールできていたと言える。

「そうですね。オフェンスでコントロールするのか、ディフェンスでコントロールするのか、リバウンドなのか。それは試合の流れで感じないといけない部分です。それを常に意識して、全員が集中を切らさずにやれたことが勝因です。簡単なことではないので、いかにつかみ取って勝ちに結び付けるか。そこをチームとしてさらに強化していきたいと思います」

接戦となった終盤、田臥には印象的なプレーがあった。激しいディフェンスをかいくぐった田渡修人にレイアップを沈められて87-84と1ポゼッション差に迫られた直後、第4クォーター残り35秒のシーン。リスタートでジェフ・ギブスにボールが渡った瞬間に田臥は猛然と走り出し、ギブスからの長いパスを受け取ってフリーでレイアップを決めた。三遠にとっては会心のオフェンスを決め、ようやく1ポゼッション差に迫った直後に許したイージーシュートだけに、心理的なダメージの大きい一撃となった。

集中を切らさず、試合の流れを読んだことで生まれたこの得点を、田臥はこう振り返る。「相手が『ファウルするな』とコールをしていたんです。それで(ギブスに)ファウルしてこないと。その判断を瞬時にして。ジェフもよく見てくれていたので、信頼して走りました」

水曜は29勝7敗で並ぶA東京との『地区首位攻防戦』

自らがいつも言う「細かい部分をしっかり詰めて」という考えが凝縮されたようなこのプレーで決した試合を、田臥はこう総括した。

「点の取り合いになって、自分たちも今日は入れられたので勝ちにつながりました。全部抑えるのは難しいですけど、何とかしぶとく粘り強く、集中力を切らさずにできたとは思います」

ただ、彼の意識はもう次の試合に向けられている。今週はミッドウィーク開催、アウェーでアルバルク東京との『地区首位攻防戦』が控えている。29勝7敗で並ぶ両チーム、残り4試合の直接対決がレギュラーシーズン優勝の行方を大きく左右するのは言うまでもない。

「しっかりと今日の試合を反省して、チームとして勝てるように準備していきたいと思います」