オールスター恒例の『超豪華なオフェンス・ショー』
2月20日(現地時間19日)、NBAオールスター2017がニューオリンズのスムージー・キング・センターで開催された。先発メンバーは以下の通り。
東カンファレンス先発
カイリー・アービング(キャバリアーズ)
デマー・デローザン(ラプターズ)
レブロン・ジェームズ(キャバリアーズ)
ヤニス・アデトクンボ(バックス)
ジミー・バトラー(ブルズ)
西カンファレンス先発
ステフィン・カリー(ウォリアーズ)
ジェームズ・ハーデン(ロケッツ)
ケビン・デュラント(ウォリアーズ)
カワイ・レナード(スパーズ)
アンソニー・デイビス(ペリカンズ)
レブロンとデービスのジャンプボールで西のポゼッションからスタートしたゲームは、粋な演出から始まった。最初のオフェンスで地元ペリカンズのセンター、デービスにガードを任せたのだ。そのデービスはカリーとのピック&ロールからミドルシュートを沈めて先制点を奪い、会場を盛り上げた。
レブロンが3ポイントシュートを決めれば、すかさずカリーが3ポイントシュートをお返しするなど、オールスター恒例の『オフェンス・ショー』が幕を開けた。
初出場で先発に選ばれたアデトクンボはフレッシュマンらしく全力プレーで会場を盛り上げる。デービスをブロックし、豪快なダンクシュートを連発するなど持ち味をアピールした。
アービングとレブロン、キャブズのコンビによるアリウープが飛び出せば、ハーデンとデュラントの旧サンダーコンビのアリウープでお返しとハイレベルなプレーが続く。
#KevinDurant up top for #RussellWestbrook for #TeamWEST!#NBAAllStar @NBAonTNT pic.twitter.com/lXDtN6hIfu
— NBA (@NBA) 2017年2月20日
ウェストブルック&デュラントのアリウープが炸裂
第1クォーター残り6分のところでラッセル・ウェストブルックがベンチから登場し、ついにデュラントとのコンビが復活。試合前には「互いに無視するのではないか」とささやかれた2人だが、すぐさま息の合ったスーパープレーで会場を湧かせる。ウェストブルックがデュラントへパスを送り、パス&ゴーでゴールへ走り込んだウェストブルックへのリターンでアリウープが炸裂。会場はこの日一番の歓声に包まれ、ベンチも大いに湧いた。
その後も選手たちは魅せるプレーに挑戦し続ける。ウェストブルックが3ポイントラインからボードにボールを当てて、一人アリウープを狙うがこれは失敗。今度はアイザイア・トーマスがボールを高くバウンドさせて一人アリウープを狙うがこれも失敗し、会場は苦笑いに包まれた。
レブロンがほぼセンターラインからの長距離3ポイントシュートを決め、デマー・デローザンやアービングとの豪快なアリウープを連続で決めて『キング』の時間を作れば、カリーが連続で3ポイントシュートを沈めて『最強シューター』の力を誇示した。
『盛り上げ役』に徹したカリーが千両役者ぶりを発揮
92-97と西がリードして後半を迎えると、カリーがプレーと笑いで魅せる。まずはバックビハインドドリブルで2人を抜きさりレイアップを決め、その後はアデトクンボのワンマン速攻に対しディフェンスを放棄。パワフルなダンクに降伏するかのようにペイントエリアでうつ伏せになって頭を抱え、皆の笑いを誘った。さらには失敗に終わったものの、バックボードにボールを当てる一人アリウープに挑戦し会場を盛り上げた。
アデトクンボは後半に入ってもエンジン全開。カリーの上からプットバックダンクを決め、スピードに乗ったドリブルからユーロステップでディフェンスをかわしてダンクを決めるなど、身体能力の高さを存分にアピールした。
オフェンスリバウンドやペイントエリアで着実に得点を重ねてきたデービスは一つの記録を塗り替える。第4クォーター残り6分を切り、ゴードン・ヘイワードとのアリウープで44得点目を記録。これでウィルト・チェンバレンが持っていたオールスターの得点記録、42得点を上回った。デービスは、ハーデンのバックボードに当てたパスをバックダンクで押し込むなど、その後も得点を重ねた。
勝敗にこだわらず、エンターテインメント性を重視したゲームは、デービスの活躍もあり西が192-180で勝利した。
チェンバレンの記録を塗り替えたデービスがMVPに
最多得点記録を52に伸ばし、1試合最多得点記録を55年ぶりに塗り替えたデービスがMVPに選出された。地元チームの選手がMVPに選ばれたのはロスで行われた2011年大会のコービー・ブライアント以来となる。
試合後の会見でデービスは「MVPを地元にもたらしたかった」と、最初からMVPを狙っていたことを明かした。試合前のロッカールームでそう宣言したことで、チームメートは彼にチャンスを回した。西のヘッドコーチを務めたスティーブ・カーも、それを後押しした。「みんなが僕にMVPを取らせてくれた」とデービスは言う。
ニューオリンズでは2月7日に強い竜巻により大きな被害が出て、オールスターの開催自体も一時は危ぶまれた。また2005年に壊滅的な被害を与えたハリケーン・カトリーナも記憶に新しい。「オールスターでこの街に賑やかさを取り戻したかった。まだまだ問題はあるけど、ニューオリンズは強い。何度だって復興する。オールスターを開催できたことは、この街にとってすごく意味があるんだ」
「記録を更新したことは会場の歓声で分かった。自分では気づいていなかったんだ。ウィルトの領域に足を踏み入れることができてうれしい。でも、僕は自分のためじゃなく、ホームのファンのためにMVPが欲しかったんだ
デービスは得点数だけでなく、フィールドゴールの試投数39本、成功数26本と、3つの記録を塗り替えている。
西ではウェストブルックが7本の3ポイントシュートを含む41得点、カリーが21得点と続いた。デュラントが21得点10リバウンド10アシストで史上4人目となるオールスターでのトリプル・ダブルを達成。また東では初出場のアデトクンボがチームハイの30得点とハッスル。レブロンが23得点、アービングが22得点14アシストとキャブズコンビが力を見せた。
終始和やかな雰囲気で行われた66回目のオールスターゲームは西の勝利で幕を閉じた。選手たちは普段の真剣勝負から開放され純粋にバスケットを楽しみ、ファンも選手たちのプレーに酔いしれた。
NBAのレギュラーシーズン後半戦は、3日間の休日を挟んで2月23日から再開する。