ニック・ファジーカス

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

あと22点「背番号と一緒で知っていた」

川崎ブレイブサンダースは先週末のサンロッカーズ渋谷戦に苦しみながらも連勝を収めた。地区優勝、チャンピオンシップ進出を目指すチームとしては上々の再スタートを切り、北卓也ヘッドコーチも「良いスタートが切れた」とコメントした。

昨日行われた第2戦では、ニック・ファジーカスがBリーグ通算4000得点を達成した。その時が訪れたのは、第4クォーター残り3分半。3ポイントラインの外、左45度の位置でボールを保持したファジーカスは、篠山竜青にボールを手渡しするフェイントを見せる。ロバート・サクレがカバーに向かい、ベンドラメ礼生も篠山を追いかける格好となり、前が空いた瞬間だった。

「ハンドオフでサクレがつられた瞬間、ノーマークになったから打ったんだ。100回チャンスがあったら、100回同じシュートを打つよ」と、気負わずいつも通りのプレーだった。

結果的にその3ポイントシュートがちょうど4000得点目となった。「背番号と一緒で覚えやすいし、あと22点が必要というのは知っていたんだ。19点取っていたから、スリーを決めてすぐに分かったよ」と、ファジーカスも頭の片隅にはその意識があったという。

それでも、「毎年ある数字を達成しているので、そこまで大したことではないよ」と、ファジーカスにとっては『通常運転』で積み上げた結果でしかなく、特別な感情はないという。

その4000得点目が決まった瞬間、場内アナウンスが流れたことに加え、点差を3ポゼッション差に拡大するビッグショットだったこともあり、会場は大歓声に包まれた。通過点ではあっても、「みんなにお祝いされるのはうれしい」と、ファンからの祝福には感謝している。

ニック・ファジーカス

「眠すぎて食べながら寝そうになった」

今節は2試合ともにファジーカスはベンチスタートとなった。ワールドカップ予選のアウェー2試合を戦った疲労があることに加え、一度帰国した後にアメリカに飛び、母校ネバダ大の永久欠番セレモニーに参加していた。

第1戦では、今シーズン最少のシュート試投数となり、11得点に終わった。「正直、昨日の後半は少しボーっとしていたんだ。昨日は試合から帰ってきて、眠すぎて食事しながら寝そうになった(笑)。今日も試合だから、無理やり食べたけどね」と明かしたが、タフなファジーカスも強行日程の連発と時差に影響を受けたようだ。

それでも、「昨日の夜は良く寝ることができて、昨日よりもスタートが早かったから昼寝もできて、それが良かった」と、第2戦では24得点14リバウンド3アシストと、まさに大黒柱の活躍でチームを勝利に導いた。

そんなファジーカスが語る終盤戦のカギは、シェーン・エドワーズとバーノン・マクリンとの連携だ。ファジーカスが帰化したことで、2人との同時起用となる『オン3』は大きな武器となる。ただ、これまではケミストリーが噛み合わず、長い時間は採用されてこなかった。

強力なオフェンス能力を持つ3人が揃うメリットはもちろん、川崎の弱点となっているリバウンドの強化にも直結する。ファジーカスも、「『オン3』は一番リバウンドが取れるラインナップで、チームとしても一番強いラインナップだと思う。リバウンドに関しては、3人の時間帯を増やすことが大事」と語る。

レギュラーシーズン最後の18試合でチーム力を上積みし、チャンピオンシップに良い形で臨むためには、ファジーカスの言うように3人の共闘がどれだけ機能するかがカギとなりそうだ。