桶谷HC「安易にダーラムのところのミスマッチを突いていったのが裏目に」
琉球ゴールデンキングスはBリーグファイナルの第2戦で広島ドラゴンフライズに63-72で敗戦。初戦に続く連勝を逃し、28日に行われる第3戦に臨むことになった。
第2戦の琉球は広島の高確率のアウトサイドシュートと、強度の高いディフェンスに後手を踏み、14-21と出遅れてしまう。だが、第2クォーターに入ると、ヴィック・ローとアレン・ダーラムの両フォワードを軸とした、激しいディフェンスからの攻守の素早い切り替えによって流れを引き寄せ、逆転してハーフタイムを迎える。
後半の立ち上がりも琉球のペースが続き、第3クォーター残り7分半でリードを2桁に広げた。このまま一気に押し切りたい琉球だったが、ここからオフェンスが一気に停滞する。ジャック・クーリー、アレックス・カークと両ビッグマンのファウルトラブルに加え、広島のスイッチディフェンスにうまく対処できないことで凡ミスが増え、タフショットが続く展開に。自滅の形で広島に流れを明け渡すと、3ポイントシュートが18本中11本の成功と、最後まで高確率で射抜かれ広島の勢いを止めることができなかった。
琉球は後半の得点がわずか29得点と、完全に沈黙した。その一番の理由は、広島のスイッチディフェンスの術中にはまったこと。スイッチによってダーラムが自分よりサイズで劣る広島のガード陣とマッチアップする状況が生まれた。しかし、これは琉球が作りだしたのではなく、広島が仕向けたミスマッチだった。だからこそ、ダーラムがここからインサイドにアタックするのは広島にとって想定内であり、ビッグマンが素早いヘルプディフェンスでカバーすることで対応できた。そして、ダーラムのポストアップからの展開が機能していないにも関わらず、固執してしまいワンパターンのオフェンスに。その結果、ボールムーブも停滞してタフショットが増えていく悪循環となり、桶谷大ヘッドコーチも「オフェンスでスイッチしてくれたので、安易にダーラムのところのミスマッチを突いていったのが裏目に出てしまいました」と悔いた。
「ここから立て直すメンタリティーをみんながしっかり持っていると思います」
セカンドユニットでゲームコントロールを担う琉球の牧隼利も、単調なオフェンスを敗因に挙げた。「相手のサイズがある選手たちがスイッチディフェンスを多用する中、ボールが止まってしまったところが課題だと思います。前半からスイッチで抑えられていた中、後半で修正できなかったのは自分たちの問題です。それが解決できないと次の勝利はないので、しっかり考えて火曜日に臨みたいです」
第3クォーター序盤には2桁リードと、Bリーグ連覇が見えてきたところでの逆転負けは痛恨の結果だ。だが、牧は冷静に現状を受け止め、自分たちがこの敗戦を糧にステップアップできると信じている。「(連勝で優勝と)そんな簡単にうまくいかないよね、というところはあります。(クォーターファイナル、セミファイナルと)第3戦を勝ち抜いてきたチームなので、ここから立て直すメンタリティーをみんながしっかり持っていると思います」
琉球が第3戦に勝利するには、広島のスイッチディフェンスをいかに攻略できるかが大きな鍵となる。そのためには、ミスマッチを突くことよりも積極的なドライブからのキックアウトなど、人とボールがよく動く自分たちのオフェンスの遂行を何よりも大切にすることが求められる。そして、ダーラム、ローと縦への推進力に優れたフォワードが、ゴールを背にした状態でボールを持つのではなく、リングにどんどんアタックできる状況を作り出していかないといけない。ダーラム、ロー、帰化枠のカークを同時起用するビッグラインナップこそ、選手の特性から言ってセットオフェンスではなく、トランジションを強調したオフェンスが必要だ。
また、ファイナル初戦ではベンチ入り全員となる12名、第2戦も11名がコートに立つなど、文字通りチーム一丸となって戦うスタイルを貫く琉球において、セカンドユニットがどれだけチームに活力を与えられるかも大切となってくる。牧は千葉ジェッツとのセミファイナル第3戦では11得点を挙げ、セミファイナル第2戦と第3戦の出場している間の得失点差ではそれぞれ+7、+11を記録と、逆転勝ちに貢献した。だが、ファイナルでは第1戦が-4、第2戦では-2で、「昨日にしろ、今日にしろ第3、第4クォーターの場面でうまく繋げなかった感じがあります」と、厳しい自己評価を下した。
だからこそ、明日のすべてをかける大一番において、牧は「セカンドユニットの責任は僕に任されていると思うので、そこは火曜日に意識してやっていきたいです」と強い覚悟を見せる。牧がオフェンスの舵取り役としてボールの停滞を防ぐとともに、シュートチャンスでしっかりと決め切りキングスブースターの熱狂を巻き起こせれば、結果は自然とついてくる。