11連覇のJX-ENEOSサンフラワーズを支える吉田亜沙美「バスケが新鮮に思えた」

2019/03/03
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吉田亜沙美

文・写真=鈴木栄一

三菱電機に迫られるも、吉田が盤石の安定感をもたらす

3月3日、Wリーグのファイナル第2戦が行われ、JX-ENEOSサンフラワーズが82-76で三菱電機コアラーズを撃破。2連勝でリーグ制覇を達成し、前人未到の11連覇という金字塔を打ち立てた。

この試合、JX-ENEOSは91-68で快勝した第1戦の好調をキープし、前半を43−27と大差をつけて折り返す。しかし、後半に入ると根本葉瑠乃の連続3ポイントシュートで三菱電機が勢いに乗り、エースである渡邉亜弥のシュートも決まりだし、JX-ENEOSのリードは6点にまで縮まって第4クォーターを迎えた。

流れは完全に三菱電機にあったが、ここでJX-ENEOSは『女王』の貫禄を見せて立て直して、常に先行したまま押し切った。劣勢になっても崩れなかった要因の最たるものは、司令塔である吉田亜沙美の存在だ。それは佐藤清美ヘッドコーチが試合後の優勝会見で「第3クォーターに三菱さんの3ポイントが入って詰められましたが、吉田を投入してしっかりゲームコントロールしてくれたことがこの勝利に繋がった」と振り返ったことからも明らかだ。

今シーズンの吉田は、先発を藤岡麻菜美に任せてベンチスタートに回ったが、ここ一番での冷静沈着かつ安定感あるプレーは変わらず。この試合も約30分出場で7得点7リバウンド5アシストとオールラウンダーとしての非凡なプレーに、絶対的なリーダーシップで女王を支えた。

百戦錬磨の司令塔は、追い上げを食らっている中でも焦りは全くなく、自分たちのやるべきことに集中できていたと言う。「常にディフェンスで頑張り、我慢しようと伝えていました。流れが悪くなった時、何でペースをつかむのか選手たちはよく分かっています。焦りはなかったですし、点数差もよく分かっていなかったです。パッと見た時に10点差になっていて、そこまで開いていたんだという感じでした。それだけ目の前のプレーに集中できていました」

吉田亜沙美

「2冠を達成することだけにフォーカスしていました」

今日の勝利で、10連覇で並んでいたシャンソン化粧品を抜き、JX-ENEOSの連覇記録は歴代1位となった。ただ、吉田は無心の勝利であることを強調する。「今年に関しては11連覇をする。何か歴史を変えようとか、シャンソンさんを越えようとか、選手は一切感じずにいました。ただ、目の前の試合を勝ちたい。優勝したいという気持ちがすごくありました」

勝ち続けることにより「気持ちの部分、モチベーションの維持はすごく難しい部分がありました」と明かすが、そこは次のような目標設定によって精神面のブレを抑えた。「オールジャパンとリーグの2冠を達成することだけにフォーカスしていました。そして藤岡をバックアップとしてサポートしてあげたい気持ちが強く、そこが自分のモチベーションになりました」

また、ベンチスタートというこれまでにない役割を担うことは、新たな刺激であり、向上心をもたらす効果もあった。「スタートとは全然違う責任感、緊張感がありました。後から出て行く難しさ、流れを変えるプレーを求められる上でプレッシャーもありました。ただ、自分のプレーの範囲を広げるための挑戦ができるのは今シーズンを通して楽しかったです。それはバスケットをしていて新鮮に思えたことでした。」

吉田亜沙美

「ひたすら勝ちにこだわっていきたい」

大﨑佑圭も今シーズンは選手登録を外れたことで、JX-ENEOSは藤岡、梅沢カディシャ樹奈と先発が2人変更した。これで、もし優勝を逃したら先発を代えたから、と言われかねない。だからこそ、「スタートの2人が変わったからこそ優勝したいと私自身も思いました」と、新たな負けられない理由も吉田の力となった。

様々な葛藤や困難もあった中で今シーズンもJX-ENEOSは女王の座を守った。当たり前のことだが、勝ち続けることは簡単ではなく、だからこそ吉田は後輩たちの頑張りを次のように称える。「周りから11連覇と言われていて、JXが優勝したら『やっぱりJXなのか』、勝って当然という感じですし、負けたら優勝した時以上に騒ぎ立てられる環境の中で、プレッシャーに押しつぶされることなくよく耐えて、自分たちのプレーをやってくれました」

その上で、「藤岡、梅沢は初めてスタートとして優勝したことで、これからJXを引っ張っていかなければいけない。さらに成長しなければいけない2人になったと思います。彼女たちの成長がさらにJXを強くすると思いますし、進化してくれると期待しています」と次代の中心選手たちへの叱咤激励も忘れない。

最後に連覇の記録で単独トップとなったことで、これを一つの区切りと周囲は見てしまいがちだ。だが、吉田にそんな思いはない。「2冠で強さを見せつけることができましたが、課題もまだまだ見つかりました。11連覇に満足することなくひたすら勝ちにこだわっていきたいです」と、勝利への飽くなき渇望は変わらない。この貪欲なハングリー精神、向上心があるからこそ、吉田を軸としたJX—ENEOSに常勝軍団であり続けると、あらためて感じさせられた今シーズンであった。