ルカ・ドンチッチ

「ゴベアよりちょっとだけ俊敏に動ける(笑)」

前半を終えて48-60。マーベリックスはマイク・コンリーのプレーメークにアンソニー・エドワーズの積極的なアタック、ナズ・リードの3ポイントシュート4本すべて成功という好調ぶりに押されていた。ルカ・ドンチッチとカイリー・アービングは2人で21得点7アシストを記録していたものの、ターンオーバーも5とミスが止まらず。ウルブズの執拗なディフェンスが、マブスに思うようなバスケをさせていなかった。

それでもマブスは後半に猛追する。その主役はもちろんドンチッチとカイリーの2人だった。第1戦では前半からカイリーが飛ばしに飛ばしてドンチッチが体力を温存し、そのドンチッチがクラッチタイムに仕事をした。今回はその逆で、ドンチッチが第3クォーターに11得点3アシストでオフェンスを引っ張り、第4クォーターはカイリーが13得点3アシストでその役割を引き継いだ。

前半は14本中4本成功と当たりのこなかった3ポイントシュートが後半には17本中8本成功と当たったのも大きいが、ドンチッチとカイリーがウルブズのディフェンスを攻略し、ワイドオープンのチャンスをきっちり作ったことで確率が上がったと見るべきだろう。特に第4クォーターのカイリーは激しいディフェンスを予知し、相手を引き付けてその逆を突くような見事なパフォーマンスを見せた。

マブスは最大18点のビハインドを背負ったが、第4クォーター開始1分半にカイリーの3ポイントシュートで逆転。そこから1ポゼッション差の緊迫した展開が続く。残り1分半に抜け出したのはウルブズで、エドワーズのフリースローで108-103と久々に2ポゼッション差のリードを奪ったが、マブスはすぐにカイリーの3ポイントシュートで差を詰めた。

残り13秒で2点ビハインド。マブスは最後のチャンスをドンチッチに託し、スイッチを強いてルディ・ゴベアとの1対1のシチュエーションを作り出す。ドライブして決めれば延長へ、3ポイントシュートを決めれば逆転というシーンで、ドンチッチはステップバックからの3ポイントシュートをねじ込んだ。

マブスを率いるジェイソン・キッドは、その直前のタイムアウトでどんなプレーをデザインしたのかを問われ、笑顔とともにこう答えている。「それはルカに聞いてみないと分からない。ルカにボールを渡して、彼らしくやってもらうのが作戦だった。ただ、ゴベアとの1対1になった時点でステップバックスリーだと思ったのは私だけではないだろう?」

そしてドンチッチはこう冗談を飛ばした。「ルディは高さはあるけどスピードはない。僕もスピードはないけど、ゴベアよりちょっとだけ俊敏に動ける(笑)」

ドンチッチはこう続けた。「あらかじめどんなプレーをするか決めてはいなかった。僕らのピック&ロールからどこにズレができて、どう使うかはその時のディフェンス次第なんだ。そしてゴベアを見て、3ポイントシュートを打つと決めた。あとはただステップバックから決めただけだよ」

これでマブスは敵地で2勝。NBAのプレーオフが7試合方式になってから、最初の2試合に連勝したチームがシリーズを制した確率は92.3%になる。第1戦は3点差、第2戦は1点差。差はわずかであっても2勝0敗というマブスのリードは大きな価値がある。ホームでその優位をさらに固め、優勝した2010-11シーズン以来のNBAファイナル進出を果たせるだろうか。