ジェイレン・ブラウン

「プレーできることに感謝して、全力を尽くす」

ペイサーズのオフェンスの爆発力は、しばしば混沌から生まれる。リスクを承知でアグレッシブに攻め、行けると判断すればショットクロックが残っていても強引に仕掛けて何かを生み出す。選手の創造性を生かし、できる限りスピーディーに攻めるために相手ディフェンスは対処しづらい一方で、ターンオーバーも多くなりがちだ。セルティックスとのカンファレンスファイナル初戦を延長の末に落とした後、TJ・マッコネルは「僕らのスタイルはある程度のターンオーバーは仕方ない部分もあるが、22は多すぎる」と反省を語った。

第2戦でそのターンオーバーは16となり、許容できる数に落ち着いたのかもしれないが、一つ水漏れを止めれば別のところから水が漏れ出した。今回はリバウンドで、前半だけでセルティックスにオフェンスリバウンド10を奪われ、そこから12失点を喫した。第1クォーターは27-25とリードしたものの、第2クォーターの立ち上がりから5分以上無得点が続いて0-17のランを浴びた間、ゴール下を支配されて手詰まりの状況で無理な打開を試みてのミスを連発し、傷口を広げていった。

ペイサーズのゴール下を担うマイルズ・ターナーはファウルトラブルで思い切ったプレーができず、第2クォーター残り4分でアル・ホーフォードとのリバウンド争いで個人3つ目のファウルを犯す。かなり自重してプレーしていた彼はベンチにチャレンジを要求するも、指揮官リック・カーライルはここではチャレンジを使わず。この時点で無得点で2リバウンドと振るわなかったベンチでフラストレーションを溜め、後半も本来のパフォーマンスを取り戻せなかった。

苦戦するペイサーズにとって追い打ちとなったのは、タイリース・ハリバートンのケガだった。左足のハムストリングを痛めて第3クォーター途中でベンチに下がることに。この時点で71-82と11点差、セルティックスはクリスタプス・ポルジンギス不在に続いて控えセンターのルーク・コーネットが故障するアクシデントがあったものの、危なげなくリードを守って126-110で勝利した。

セルティックスではジェイレン・ブラウンが40得点、テイタムとデリック・ホワイトが23得点を記録。サイズの利を生かして有効なマッチアップを見つけては高確率でシュートを決めていった。

この前日、ブラウンは不名誉な議論に巻き込まれていた。オールNBAにテイタムが選出された一方で彼は外れたのだ。試合前の取材対応でチームメートたちは「あり得ない」と口を揃えた。デリック・ホワイトは「彼の活躍はシーズンを通してのもので、常に相手のスター選手に挑み、打ち勝ってきた。オールNBAに間違いなく値する選手だ」と語る。

だがブラウン自身はこの議論に加わろうとしなかった。40得点でチームを勝利に導いた後、オールNBAから外れたことがモチベーションになったかと問われても「ノー」と即答している。

「ファイナル進出まであと2勝、そのことだけを考えていた」と彼は言う。「僕は日々コートに立ってバスケができることに幸せを感じている。誰に何を言われても、どんなストーリーが僕の周囲にあっても、僕はコートに立って自分の価値を出すだけなんだ。正直、その点においてこのリーグで僕より優れている選手はそれほど多くないと思う。才能が僕の半分しかない選手が称賛されるのを見ても、僕はただ受け入れる。プレーできることに感謝して、全力を尽くす。それが僕のやり方だし、変えるつもりはない」

「人からどう評価されるかは関係ない。僕は毎年少しずつ成長している。それがすべてなんだ」