文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

落ち着いた対応で相手の強引さから生まれるミスを誘う

富山グラウジーズとアルバルク東京の第2戦。昨日の試合では後半の勝負どころを逃さずに攻守の噛み合ったプレーで富山を突き放したA東京が快勝した。

今日もA東京はトロイ・ギレンウォーターとアンドリュー・ネイミックを契約解除した後の新しい選手の登録が間に合わず、外国籍選手はディアンテ・ギャレットのみ。ギャレット、正中岳城、田中大貴、菊地祥平、竹内譲次のラインナップで試合に臨んだ。

立ち上がりは富山のペース。前日の不甲斐ない負けに発憤した富山は試合開始からエネルギー全開で、A東京はその勢いに飲まれた。開始から2分半で得点が生まれず、6分が過ぎたところで4-14と10点差を付けられてタイムアウトを取らざるを得なかった。

だが、東京はここから反撃開始。ギャレットが強引に攻めるのではなく落ち着いてゲームメークし、途中出場のザック・バランスキーと松井啓十郎の3ポイントシュートで追い上げる。

立ち上がりは富山のアグレッシブなプレーに飲まれていたディフェンスも、落ち着いて対処することで相手の強引さから生まれるミスを誘う。こうして富山の攻めは『積極的』から『強引』に変わってしまい、ターンオーバーを連発することになった。

富山の外国籍選手オン・ザ・コートが「1」となる第2クォーターは高さのミスマッチがなくなり、完全にA東京のペースに。2本の3ポイントシュートを含む8得点を挙げた松井の『当たり』もあって逆転に成功する。

前半を終えて45-38とA東京がリード。ターンオーバーは富山の7に対してA東京はわずか1。そして驚くべきことに富山のフリースローは1本もなかった。インサイドの選手層が極端に薄くなっているA東京にとって、ファウルトラブル、さらにはファウルアウトは絶対に避けなければならない状況。A東京はビハインドを背負う時間が長かったにもかかわらず、自分たちのゲームプランをしっかりと守ったことを意味する。

食い下がる富山、多彩なオフェンスで突き放すA東京

後半開始から気合を入れ直した富山は再び猛攻を見せる。ところが今度はファウルに足を引っ張られた。ギャレットに3つ、バランスキーに2つのファウルを犯し、第3クォーターの半分をすぎたところでチームファウルが5に到達してしまう。

それでも富山は、納得の行かないファウルの判定に集中を切らしてしまった前日とは違い、粘り強く食い下がる。その直後、比留木謙司がドライブで切り込み、難しいジャンプシュートを沈めて53-54と1点差に詰め寄った。

ただ、A東京にとってもここが勝負どころで、一段ギアを上げてきた。激しく当たれない状況を見越して、どの選手もリングにアタックするようになり、ギャレットが的確にパスを回す。こうしてインサイドに注意を引き付けては、田中大貴やバランスキーが3ポイントシュートを決めて富山を突き放していった。第3クォーター終盤に菊池がファウルトラブルに陥るも、もう試合は完全にA東京のペースだった。

終盤の富山は、ドリュー・ヴァイニーや岡田優が孤軍奮闘するも、攻撃はどんどん単調になり、A東京のディフェンスの網にかかる。そしてA東京はギャレットから田中のアイソレーションへと攻撃の軸を切り替え、速攻を含めてイージーシュートを重ねて点差を広げていった。

終盤まで集中力を保てなかった富山、痛い連敗

こうなると富山は集中力を保てない。ターンオーバーの後に守備に走れないなど、第3クォーター途中までの粘り強さは消えてしまった。残り3分25秒、竹内が3ポイントシュートを決めて88-67と20点差を付けたところで勝負アリ。最終スコア100-81でA東京が勝利。外国籍ビッグマン2人を欠く状況で連勝を収めた。

連敗を喫した富山の指揮官ボブ・ナッシュは、「第1クォーターには戦う姿勢が見られましたが、中盤、終盤になるにつれて勝つに値するハードワークは見られなかった」と厳しく試合を振り返る。これで8勝30敗、滋賀レイクスターズと並びリーグ最下位の勝率(.211)となった。

一方のアルバルク東京、伊藤拓摩ヘッドコーチは「コーチすることなく、見守るだけで良かった。この2日間、選手たちが一丸となって、素晴らしい集中力で戦ってくれた」と、難しい状況で勝負強さを見せた選手を称えた。

A東京は22日に栃木ブレックスとの東地区首位対決を控えている。この試合から新外国籍選手のジェフ・エアーズ、トレント・プレイステッドが起用できる見込み。大きなピンチをこのまま乗り越えられるのか、注目が集まる。