ルカ・ドンチッチ

苦しい時間帯を耐え抜き、攻守の活躍で快勝を演出

第5シードからカンファレンスファイナルまで勝ち進んだマーベリックスは、これまでデリック・ジョーンズJr.やPJ・ワシントン、ティム・ハーダウェイJr.といったサポートキャストによる日替わりの活躍が目立った。しかし、ティンバーウルブズとのカンファレンスファイナル第1戦ではルカ・ドンチッチとカイリー・アービングの『2枚看板』が本領発揮。ドンチッチは33得点8アシスト、カイリーは30得点4アシストとオフェンスを牽引し、チームを108-105の勝利へと導いた。

前半はウルブズがリードする時間帯が長かったが、マブスは第3クォーターに追い付き、第4クォーターでひっくり返した。「ただ信じてプレーしていた」とドンチッチは言う。「チーム全員が信じて一緒に戦った結果だ」

第4クォーター残り3分半、アンソニー・エドワーズが102-98とリードを広げる3ポイントシュートを決めると、すぐさまドンチッチがセカンドチャンスからステップバックでエドワーズの守備をかいくぐっての3ポイントシュートを決め返す。エース同士の得点を機に熱戦はヒートアップ。残り2分、攻めきれなかったジェイデン・マクダニエルズが戻そうとしたボールをドンチッチが奪ってすぐさま速攻へ。ドンチッチ、カイリーと繋いで最後はワシントンのコーナースリーでマブスが104-102と逆転した。3ポイントシュートに全く当たりの来ない試合だったが、最高のタイミングでビッグショットが生まれた。「あれは大きかった」とドンチッチは振り返る。

残り1分を切って、粘り強くマークを続けるマクダニエルズの真正面からジャンプシュートを決めてリードを2ポゼッション差に広げる大仕事もやってのけたが、ドンチッチは得点以外でも気合い十分だった。マイク・コンリーがルディ・ゴベアを狙ったアリウープのロブパスをジャンプ一番で奪い取り、相手の3ポイントシュートが外れたリバウンドを競りながらも死守。そして残り1.8秒でコンリーのフリースローが外れると、カール・アンソニー・タウンズとゴベアに挟まれながらもリバウンドをティップで味方に繋いで試合終了のブザーを迎えている。

ウルブズはドンチッチとカイリーに対してダブルチームを送らず、キックアウトからの3ポイントシュートを警戒。これによりマブスの3ポイントシュートを25本中成功6本(24.%)と抑え込んだが、2人のスーパースターを止められなかった。

ドンチッチは「僕個人は良いプレーが全然できなかった」と言うが、そのパフォーマンスはウルブズ自慢の堅守を打ち破るのに十分だった。激しいディフェンスに晒され、ビハインドの時間帯が長くてもイライラすることなく、攻守両面で集中を切らさなかったことからも、今の状態の良さが感じられる。

ドンチッチが勝負の第4クォーターに15得点を固めた一方で、カイリーは前半だけで24得点と、ウルブズ優位の時間帯の奮闘が目立った。このシリーズではウルブズの若きエース、アンソニー・エドワーズとの1対1が注目される。ナゲッツとの『GAME7』を制した直後、エドワーズは「カイリーは僕が抑える」と宣言した。カイリーは若きスター候補からの『挑戦状』をテレビで見ていたそうだ。

「その言葉をモチベーションにさせてもらったよ」とカイリーはうれしそうに語る。「自宅で家族と一緒に『GAME7』を見ていたら、アント(エドワーズ)のその発言が飛び出した。リスペクトを感じたし、怖いもの知らずのメンタリティは良いものだよ。同じ仲間として彼のことが大好きだ。アントが高校生の頃には僕を見ていたんだろう。そういう選手との対戦は心が躍るよ」

そのエドワーズはカイリーに30得点を許し、彼自身は19得点に終わった。「今日のウチは本来あるべきエネルギーを欠いていた。僕も攻める回数が少なかった」と彼は語るが、接戦を落としても悔しがるわけではなく、次戦での活躍を誓っているようだった。