ジュリアン・マブンガ

文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

新外国籍コンビが活躍した滋賀、京都を苦しめる

滋賀レイクスターズが京都ハンナリーズの本拠地ハンナリーズアリーナに乗り込んだ京滋ダービー第1戦。ここまで8勝32敗とリーグ最下位に沈む滋賀は、ディオール・フィッシャーとマーカス・ブレイクリーをカットし、ヘンリー・ウォーカーとアレン・ダーラムへと外国籍選手を入れ替えるテコ入れを図った。

リーグ中断期間に準備ができた滋賀と、スカウティングできない京都では前者に分がある。立ち上がりは滋賀が勢いで上回り、新外国籍の2人にボールを集めて効率良く得点を奪った。ともに身長198cmと高さは物足りないが、フィジカルとフットワークがあり、特にウォーカーはNBA181試合出場の実績に見合った働きをデビュー戦で披露。ミドルレンジからのシュートを得意とし、3ポイントシュートも決めて、第1クォーターから9得点の活躍でチームを勢いに乗せた。

それでも京都は13-19とビハインドを背負った第1クォーター後半、途中出場の内海慎吾と片岡大晴がハッスルプレーで流れを引き戻す。内海がフロアに身体を投げ出すスティールから片岡の速攻の起点となると、再び速攻を繰り出しジュリアン・マブンガが決める。これで立ち上がりのマイナスを帳消しにして、それからは一進一退の攻防が続く。

そんな試合で一際目立ったのは中村功平だ。中央大から特別指定で加入した中村は、昨年12月のデビューからコンスタントに出場機会を得て、この中断期間で完全にチームに馴染んだ。得点力のあるポイントガードを目指す彼は、ベンチスタートではあったが先発の伊藤大司より長い23分間のプレータイムを得て、初の2桁得点(10得点)を記録。ワイドに動くウォーカーとダーラムに相手の注意が向き、行けると判断すれば迷わず自分のシュートを選択。その積極性はオフェンスの良いアクセントとなった。さらに若き日本人エースとなった高橋耕陽も、ウイングの位置から積極的に仕掛けて13得点を記録。こうして滋賀は京都を相手に一歩も引かず渡り合った。

中村功平

若きポイントガード中村が滋賀の良いアクセントに

第4クォーター残り2分、ダーラムのお膳立てで左コーナーでフリーになった中村が3ポイントシュートを決めて81-80と滋賀が逆転。だが、ここからダーラムとウォーカーが立て続けに個人4つ目のファウルを取られる。残り1分には、オフェンスリバウンドに飛び付いた晴山ケビンを抑え込んだウォーカーが退場に。これで与えたフリースロー2投を決められ逆転されてしまう。

直後、高橋が晴山をドライブでブチ抜くリバースレイアップを決めて再びリードを奪ったが、京都はここで岡田優介がミドルシュートをねじ込んで再逆転。この先のラスト42秒は、経験で上回る京都が隙のないゲーム運びでリードを守り切った。同点9回、リードチェンジ9回の熱戦は、88-83で京都が制している。

京都の得点源であるサイモンは、ゲームハイの31得点を記録、1試合30点超えはこれで10回目。試合後は「今日はタフな試合になると思っていましたし、最後もタフなシチュエーションが続きましたが、落ち着いてやることにフォーカスして戦えました」とコメント。これでリーグ通算得点が993に。今日の第2戦で7得点を取れば通算1000得点で、実現すれば36試合で達成したニック・ファジーカスに次ぐ2番目に早い記録(42試合)となる。

滋賀にとっては、仕切り直しで迎えた中断期間明けの試合でベストに近いパフォーマンスを発揮しながら競り負けたのは痛い。運動量とシュートでは互角以上だったが、フリースローを得た数(14-22)と成功数(9-19)、ターンオーバーからの得点(4-15)、速攻による得点(2-11)で差をつけられる悔しい敗戦となった。残り試合数は決して多くない。戦いながら課題を修正し、ライバルを上回るペースでチームの完成度を高められるかどうかが、残留の成否を分ける。

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