ルーク・コーネット「どんな形でも勝利に貢献したい」
プレーオフでは攻守の強度が上がり、互いの戦術を読み合う駆け引きがより重視され、レギュラーシーズンよりもロースコアのゲームになる。そんな試合を繰り返しながら攻守の完成度を高めて成長していくチームが最後に優勝を勝ち取るものだが、セルティックスはその一歩先を行っている。東カンファレンスのライバルを完成度で大きく引き離し、選手たちは一つにまとまり、油断もない。キャバリアーズとのセカンドラウンド初戦は、それを示す120-95の完勝となった。
ふくらはぎの筋肉を傷めているクリスタプス・ポルジンギスは、ヒートとのファーストラウンド第5戦に続きこの試合も欠場した。それでもいつものようにベテランのアル・ホーフォードが先発に回り、ベンチから出るルーク・コーネットとタイムシェアしながら、こちらはジャレット・アレンの欠場が続くキャブズのインサイドと互角以上に渡り合った。
ジェイレン・ブラウンは32得点6リバウンド、ジェイソン・テイタムは18得点11リバウンドと及第点以上の働きを見せたが、『抜群の出来』というわけではない。これは2人のエースが物足りないのではなく、チームでの戦いが機能しているためにその必要がなかったと言うべきだろう。デリック・ホワイトが3ポイントシュート7本成功を含む25得点、ベンチから出たメンバーでは前述のコーネットに加え、ペイトン・プリチャードやサム・ハウザーが出番を与えられるたびに自分らしいプレーでチームに貢献している。
プレーオフに入って絶好調のデリック・ホワイトは「一番大事なのは勝つことで、すごく良い感じでプレーできてもいる。自分の得点が何点だろうが気にしないよ。無得点だったとしても勝てば十分だ」と語る。
このチームで主役を張るべきテイタムはフィールドゴール19本中7本成功、3ポイントシュートは成功なしとオフェンスの効率が悪かった。ここだけ見れば貢献度が低いように思えるが、実際はその逆だ。ポルジンギス不在の試合でエバン・モーブリーをマークしたのはテイタムで、ピック&ロールに対してスイッチした時にはドノバン・ミッチェルかダリアス・ガーランドを守った。オフェンスではマックス・ストゥルースとマッチアップ。テイタムはキャブズで一番のディフェンダーを自分に張り付けておき、他の選手にスペースを与えることでオフェンスを動かした。試合後のテイタムは「僕たちはいろんな方法で勝つことができる。それを示せた試合だった」と満足そうにこう語っている。
ヘッドコーチのジョー・マズーラは「今日はルークの働きが大きかった」とコーネットの名前を挙げて称賛している。コーネットは2017年にドラフト外でニックスに入団し、7年間で5チームを渡り歩いたジャーニーマンだが、2020-21シーズン途中に加入したセルティックスではもう4年目を迎え、チームの雰囲気に馴染み、限られた役割ではあっても周囲の信頼を感じられることで、彼のプレーは安定している。
21分の出場で得点はわずか4と伸びなかったが、10リバウンド2アシスト2ブロックと『繋ぎ役』以上の働きを見せたコーネットは、プレーオフを戦う意気込みをこう語る。「試合への準備で小さなことにフォーカスするのが大事なんだけど、でも結局は試合に良い影響を与えるために自分の持てる限りの力を出す、ただそれだけさ。プレーオフだから、フィジカルなプレーで負けないためにエネルギーを出していくこと。すべてはそこから始まる。良いスタートさえ切ることができれば、あとは何とかやっていける」
「このチームの一員としてプレーオフを戦えるのは名誉なことだ。だから自分のベストを尽くしたいし、どんな形でも勝利に貢献したい。チームがこの好調を続け、その中で僕がこれからも自分の役割を果たせることを願うよ」