パット・ライリー社長「毎晩プレー可能でない選手に多くの資源を投入するのは大きな決断」

ヒートは今シーズン、プレーオフファーストラウンドでセルティックスに1勝4敗と完敗。昨シーズンのカンファレンスファイナルで4勝3敗の激闘を制した相手にリベンジをくらってしまった。

ヒートの大きな敗因となったのは大黒柱ジミー・バトラーを故障で欠いていたこと。34歳のバトラーはキャリアを通して故障の多い選手であるが、『プレーオフ・ジミー』と呼ばれるようにポストシーズンで圧倒的な存在感を放ってきた。昨シーズンのファイナル出場もバトラーの大暴れなくしてはあり得ないものだった。だが、30代中盤と衰えが心配となる中、今回ポストシーズンに出場できなかった事実はバトラーの評価に少なからず影響を与えるものだ。

ヒートとバトラーとの契約は、プレイヤーオプションを含めて残り2シーズン。2024-25シーズンが約4,800万ドル(約74億円)、オプションの2025-26シーズンが約5,200万ドル(約80億円)となっている。そして地元紙『マイアミ・ヘラルド』は今夏に彼が2年総額1億1,300万ドル(約175億円)の契約延長をチームに求めると報じられている。

バトラーの実力に疑いの余地はないが、彼はこれまでの在籍5年で出場試合数が58試合、52試合、57試合、64試合、60試合と毎シーズン約4分の1を欠場している。年齢を考慮すれば、今後状況が改善することは期待薄な中での大型契約はヒート首脳陣にとって簡単なものではない。

ヒートのパット・ライリー球団社長は、バトラーとの契約延長について「まだ、内部で話し合っていない」と言及を避けている。「実際、2025年までその話をする必要はない。結論を下してはいないし、まだ本格的な議論すらしていないんだ」

バトラー加入後の5年間で、ヒートは2度のファイナル出場などリーグ屈指の成果を挙げてきた。ライリーは会見で、バトラーのこれまでの功績について何度も賞賛している。だが、一方でNBA随一の敏腕フロントであるライリーは大型トレードを何度も実施するなどチームの解体に躊躇のない人物であり、一人の選手と良くも悪くも一連托生という判断を下さないドライな一面を持っている。そして彼は、このスタイルで結果を残し続けてきている。

また、ライリーが言うように、バトラーは少なくとも来シーズンはヒートの契約下にあり、この夏に延長の判断をする必要はない。とはいえ、昨今のNBAを見れば、スター選手が契約や待遇に不満を抱えた場合、チームは契約が残っていても選手を放出せざるを得ない状況になっているのは明らかだ。報道の通り、バトラーがこのオフに契約延長を望んだにもかかわらずそれが叶わなかった場合、彼がこれまでのような高い忠誠心でプレーを続行できるのかは不透明だ。

ちなみにライリーは、「毎晩プレー可能でない選手に多くの資源を投入するのは大きな決断となる。それが真実なんだ」とも語っている。これこそ、彼の偽らざる気持ちだろう。実力は申し分ないが、故障が多い30代中盤のスターに更なる巨額の年俸を支払うのか、敏腕フロントの決断に注目が集まる。