篠山竜青

文=丸山素行 写真=野口岳彦、鈴木栄一

下馬評通りに勝てないチーム「伸び悩んでいる状況」

川崎ブレイブサンダースは全体6位の24勝16敗でリーグ中断期間を迎えた。この成績をどう受け止めるかは人それぞれだが、キャプテンの篠山竜青は「乗り切れてないですし、良くはないです」と満足していない。「レギュレーションが変わって、ニック選手が帰化したことで、川崎が優勝候補筆頭だと開幕前は言われてました。でも、蓋を開けてみれば中地区でも勝つことができずに、こうやって伸び悩んでいます」

篠山が言うように、新しいレギュレーションになり、帰化選手としてニック・ファジーカスを擁するメリットを考えれば、リーグ全体勝率1位を争っていてもおかしくはない。実際、それを期待されてもいた。しかしファジーカスはオフの手術で出遅れ、辻直人の負傷や篠山のシュートスランプと、チームを牽引すべき代表トリオも乗りきれない。上位チームに対して勝ち切れず、過去2シーズンの絶対的な強さが影を潜めている印象は否めない。

北卓也ヘッドコーチも勝負どころの戦いぶりに不安を抱えている。「ポジティブ、ネガティブという話ではなく、全部が勝負どころなんです。栃木さんに連敗した時も、京都さんに連敗した時もそうでしたが、勝負どころのディフェンスで自分たちのポゼッションにしていれば、どうなるか分からない展開というのが何試合かありました。強いチームに対して徹底できていない」

また、「チームとして『これだ』というものがなく、一人ひとりズレているように感じている」と、確固たるスタイルがチームに浸透していないとも話す。

そのズレは篠山も感じている。「ディフェンスの厚みをもっと持たないといけない。勝負どころで勝敗に直結するようなリバウンドを取られています。これは栃木戦もそうでしたし、他の試合でも何回もありました。優勝するには、そこをチーム全員でやらないといけないです」

篠山竜青

タフな日程と代表活動によるジレンマ

チームがうまくいっていない時だからこそ、日々のチーム練習で課題を修正し、チームを立て直すきっかけをつかみたいところだが、今シーズンはミッドウィーク開催が頻発するスケジュールに加え、篠山ら主力3選手が代表活動に参加するため、それも容易ではない。これは日本代表に選手を送り出す栄誉と引き換えのリスクだ。

篠山も「チームとして危機感はあり、どうにかしたいと思いながら、練習する時間がなかったです。映像を見ながら、話をしながら、ここまでもがいてきました」とのジレンマを明かす。

それでも、「ちょっとずつですけど、オフェンスは改善できている感覚を持ちながらやっています」とチームへの手応えを感じている。また、セカンドユニットの得点力不足が度々指摘されるが「数字に表れないところでの貢献もしてくれてますし、若手もかなり成長している」と、篠山はそこに問題を持っていこうとはしない。

「主力とかベンチ組とか若手とか、そういうのに関係なく、今は練習したい雰囲気がチーム全体で出ています。特別に何か言わなくても、やってくれると思っています」と、キャプテンはチームメートへの信頼を語った。

篠山竜青

「川崎に帰って、リーグを通してアピールしなければ」

篠山はドーハから帰国した際の会見で「ディフェンスである程度の仕事ができたと感じる一方で、オフェンスでは数字に表れる活躍ができませんでした」と、自身のプレーを振り返った。

片手で放ったミラクル3ポイントシュートで大きなインパクトを残したが、あれはあくまでラッキーパンチであり、試合の勝敗に直結するオフェンス面での活躍はできなかった。「オフェンスでもやれるということを、川崎に帰って、リーグを通してアピールしなければいけない」と篠山は意気込む。

川崎がかつての『常勝軍団』の姿を取り戻せるかどうかは、その篠山のパフォーマンスに大きく左右される。