須田侑太郎

「自分たちの強みを多く出して勝ち切れたのはすごく大きかったです」

名古屋ダイヤモンドドルフィンズが4月27日、ホームで琉球ゴールデンキングスと対戦。西地区首位のライバルを相手に、持ち味のスピードに乗った攻めから効果的に3ポイントシュートを沈め83-77で勝利した。これで地区2位の名古屋Dは、琉球とのゲーム差を2に縮め地区優勝への望みを繋げている。

立ち上がりから共に強度の高いディフェンスを見せ、ロースコアの展開に。しかし、第1クォーター終盤、名古屋Dは前線からトラップディフェンスを仕掛け、2ポゼッション連続でスティールに成功し、連続得点を挙げてわずかにリードする。

第2クォーターに入っても僅差の展開は続くが、ここで名古屋Dは須田侑太郎がこのクォーターだけで、3ポイントシュート6本中4本成功を含む15得点と大爆発。チーム全体でもトランジションからズレを作ってのシュート機会を作り出すことで、フィールドゴール16本中11本成功と確率よく決めることで43-35と突き放す。

後半に入っても名古屋Dが主導権を握り続ける。琉球の持ち味であるサイズ、フィジカルの優位を生かしたインサイドアタックを身体を張ってしっかり抑えるなど、守備の集中力を切らさない。そして第4クォーターの立ち上がりには佐藤卓磨、中東泰斗の連続3ポイントシュートが飛び出すことで大きく流れを引き寄せ、残り約7分にはリードを18点にまで広げた。その後、琉球のプレスディフェンスに苦しみ、ターンオーバー連発による8連続失点を終盤に喫したが、そのまま余裕を持って逃げ切った。

この試合、名古屋Dの須田は27分18秒のプレータイムで3ポイントシュート5本を含むフィールドゴール11本中9本成功で自己新となる26得点の大活躍だった。本日のヒーローはこのように試合を振り返る。「チャンピオンシップさながらの激しい試合になりましたが、自分たちの強みを多く出して勝ち切れたのはすごく大きかったです。前回の島根戦に引き続き、自分たちらしい戦い方ができました」

ちなみに須田は、4月19日の島根スサノオマジック戦で25得点を挙げたばかりで、2週連続でのキャリアハイ更新となった。だが、本人は「結果的にシュートが入って25点、26点は良かったと思います。ただ、調子の良し悪しに関係なくやり続けられるかどうかが、自分にとってのチャレンジです」と、得点について意識はしていない。

シュートに関して、須田が重視しているのは打つべきタイミングでしっかりと打ち切っていくことだ。「(打ち切るのは)自分の良さであり、仕事でもあります。僕たちは打った瞬間からディフェンスが始まっている認識で、正しいタイミングで打たなければリズムが作れません。入る、入らないに関係なく、打つべきところで打てているのは良いところです」

須田侑太郎

「チームにとってその時々で何が最善なのか、自分が正直に感じたことにアプローチする」

また、今の彼はキャプテンとして、どのようにチームを引っ張っていくのかに注力している。個人のことは二の次という状況だが「キャプテンをやる中でいろいろなものが見えてきましたし、感じることができています。そして、あまり自分にベクトルを向け過ぎないのがいいのかもしれないです」と言い、逆にそれがプラスに作用しているとも感じているようだ。

そして、リーダーとして自身のスタイルを確立しつつあることに手応えを感じている。「最初はリーダーシップをどう取っていいのか分からない中、いろいろと模索していく中で今の形に行きつきました。チームにとってその時々で何が最善なのか、自分が正直に感じたことにアプローチする方法を取ることがいいという感触はあります」

ショーン・デニスヘッドコーチは須田の統率力に絶大な信頼を寄せている。須田は開幕から不動の先発を務めていたが、3月末からしばらく先発を外れていた。デニスヘッドコーチはその理由を彼のチームファーストの献身さに拠るものと明かした。「彼はチームのことだけを考え、レイ(パークスジュニア)の調子を上げるため、先発を自分からレイに変えたらどうかと提案しました。それがうまく行きました。そして(先週の)島根戦から、出だしの勢いが必要だから須田に『先発に戻すよ』と伝え、うまく反応してくれています」

名古屋Dは4月14日のファイティングイーグルス名古屋戦、17日の大阪エヴェッサ戦で共に16点差以上の大差で敗れたが、そこから一気にV字回復。先週は島根との上位対決に2試合続けて大差で勝利し、今日は地区首位の琉球を撃破した。

「前回の島根さんとの試合からチームとして少しギアが上がりました。その前に悔しい敗戦をして、先週はここで崩れてしまうのか、もう一度やり返されるのか大きな分岐点でした。そこで、ああいう試合ができたことは自信になりました。みんな自信を持って戦えている。成長を続けられている感触があります」

このように須田は、逆境を乗り越えたチームへの手応えについて語る。そして、さらなる成長を遂げてチャピオンシップに向かうために、次のように締めくくった。「『僕たちはできる』という雰囲気が今のチームには漂っています。今のプレーがスタンダードになるように、先頭に立って引っ張っていくのが僕の役割です。調子が良い悪い、疲れている、疲れていないとか関係なく、自分の仕事としてやり切りたいです」

明日勝って同一カード連勝を達成できれば、名古屋Dは残り2試合で琉球とのゲーム差を1に縮めてレギュラーシーズン最終節を迎えられる。チャンピオンシップへ弾みをつけるためにも、須田のリーダーシップの下で勝利をなんとしてもつかみたいところだ。