膝の痛みを抱えるカワイ・レナードの欠場は続く
クリッパーズとマーベリックスのプレーオフを前に、何人かの評論家が「ラッセル・ウェストブルックを先発に戻すべきだ」と主張した。フィジカルとディフェンスが強調されるプレーオフではウェストブルックのようなタイプの選手が重要さを増す。それは裏を返せば先発のジェームズ・ハーデンの価値を軽く見るものだったが、ディフェンスが強調されて簡単に点が取れないのであれば、こじ開けるオフェンスの力が必要になる。カワイ・レナードが右膝の痛みで欠場したクリッパーズで、ハーデンはいつも以上にオフェンスを牽引し、コート上のパフォーマンスで回答を出した。
いずれもチームトップの28得点と8アシストを記録し、ターンオーバーは1つだけ。特に前半で20得点4アシストとオフェンスを引っ張り、前半終了時点で56-30とほぼ勝負を決めるほどのリードを作り出した。イビチャ・ズバッツと繰り出すピック&ロールを軸に、マブス守備陣の動きをよく見ての適切なプレーチョイスで効率の良い攻めを演出。後半になるとポール・ジョージが17得点(試合全体では22得点)とハーデンに代わって攻撃を引っ張り、後半に目覚めたマブスの反撃をしのいで109-97の勝利へと漕ぎ着けた。
ルカ・ドンチッチは33得点を、カイリー・アービングは31得点を奪っており、彼らの調子が悪かったわけではない。しかしクリッパーズは彼らのある程度の活躍は許容しながら、他の選手まで調子に乗らせることは許さず、ドンチッチとカイリー以外の得点を33に抑えた。特にマブスがシーズン後半の補強で強みにしたビッグマンは、PJ・ワシントンが11得点とそれなりに活躍した以外は、ダニエル・ギャフォードとデレック・ライブリー二世がそれぞれが3得点と沈黙させられている。
彼らとマッチアップし、ペイントエリアを支配して20得点15リバウンドを記録したズバッツは言う。「ルカとカイリーがビッグショットを決めてくるのは分かっている。だから僕たちがやるべきは他の選手に集中することだった。どの選手もプレーの癖は分かっていて、やらせていいプレーとやらせちゃいけないプレーが頭に入っていた」
こうしてチーム一丸で集中したディフェンスを見せ、オフェンスになればハーデンがピック&ロールを巧みに使いながら相手の守備を引き剥がしていく。ハーデンはこう語る。「僕たちがやるべきは、ベストを尽くして戦い、そこから学んで調子を上げていくことだ。今日は上手くいったこともそうじゃなかったこともあった。その両方から学び、コントロールできることを増やしていくんだ」
「僕自身はこのチームのために自分の能力を最大限に発揮したかった。果敢にチャレンジして得点を奪いたかった。カワイは欠場したけど、そのことで僕が主導権を握ってプレーする機会が増えた。それを生かしたかったんだ」
まずはクリッパーズが良い形で1勝を挙げたが、やはりカワイ・レナードの状態は心配されるところだ。膝を痛めている彼はレギュラーシーズンのラスト8試合を欠場している。試合から3週間遠ざかっており、復帰しても試合勘を取り戻してプレーオフの激しさにアジャストするのに苦労する恐れがある。
一方、マブスは完敗を喫したもののモチベーションを失ってはいない。ドンチッチは「カワイが出場するつもりで準備してきて、少し集中が切れてしまった。僕も本来出すべき積極性を出せなかった」と語るが、「後半のメンタリティを最初から出していけば問題ないはずだ」と続ける。カイリーもこう語る。「ハーフタイムのロッカールームで僕たちはまとまることができた。この試合は僕らにとって素晴らしいテストだったと思いたい。第2戦に向けて持ち込むべき強みがいくつもあるよ」