「昨シーズンよりもっとハングリーで、もっと経験豊富」
現地4月12日、キャバリアーズはホームでペイサーズを129-120で破り、4位を確定させるとともにレギュラーシーズン最終戦を残して2位に上がる可能性を残した。
試合前の時点でキャブズが47勝、ペイサーズが46勝と成績に大きな差はない。ペイサーズはプレーオフのストレートインとなる6位を確保するためにどうしても1勝が欲しい状況で、必死に食らい付いた。それでもキャブズは第1クォーターで35-26と抜け出し、そのままリードを保ち続けた。第4クォーターには2点差に詰め寄られるも、動じることなく自分たちのペースで試合を運んだ。
ドノバン・ミッチェルは左膝のケガに鼻の骨折が重なりオールスター以降の2カ月で12試合にしか出場できず、パフォーマンスも落ちていたが、2日前のグリズリーズ戦での29得点、そしてペイサーズ戦では33得点を挙げてプレーオフを前に調子を上げてきた。ジャレット・アレンは29得点13リバウンドと、マイルズ・ターナーとパスカル・シアカムを大きく上回るインパクトを残した。
ただ、試合を決めたのはダリアス・ガーランドだった。16得点4アシストのスタッツはミッチェルやアレンと比べて地味だが、第3クォーターまで不調だったにもかかわらず第4クォーターに9得点を固め、この時期に最も必要とされる『クラッチタイムの勝負強さ』を示した。残り50秒、2点差の場面でガーランドが決めた3ポイントシュートが、実質的にキャブズに勝利をもたらしたと言える。
ヘッドコーチのJ.B.ビッカースタッフは「ずっとこれを待っていた」とガーランドの活躍を喜んだ。「今日は4つのターンオーバーもあり、彼にとっては厳しい日だった。だが、そんな時にこそ力を発揮できる選手を私は求めている。彼はチームのために奮起し、結果を出した」
ガーランドも、大事な試合に勝ったことで大きな自信を得た。「会場がすごく盛り上がって、まるでプレーオフみたいな雰囲気だった。あの3ポイントシュートが決まった瞬間はすごい歓声で、周囲の声は何も聞こえなかったぐらいだ。あの熱狂がプレーオフでは必要になる」
若いキャブズは年々成長を続け、昨シーズンにプレーオフへと進出したが、結果はニックスに手も足も出ずファーストラウンドで敗退。レギュラーシーズンとは違う強度の高いプレーに対応できない悔しい結果となった。どの選手もそれを忘れていない。ガーランドは言う。「1年間ずっと待っていた。僕らは昨シーズンよりもっとハングリーで、もっと経験豊富で、もっともっと見せたいものがある。だからプレーオフが楽しみで仕方ないんだ」
シーズン前半戦はガーランドとエバン・モーブリーが長期欠場し、後半戦にはミッチェルにケガが相次いだ。それでもキャブズはしぶとく戦い続け、プレーオフの舞台に戻って来る。ただ、『レブロン時代』以来のプレーオフ出場に沸いた1年前の熱狂は、今のキャブズにはない。
キャブズでの2年目を過ごすミッチェルは言う。「ファンにはお祭り騒ぎをしてほしいけど、僕らにとっては『やるべきことをやっただけ』という感じ。今シーズンは浮き沈みが激しくて、ケガ人がいたり、調子が良かったり悪かったり、ラインナップも変わる中で戦い続けてきた。僕個人もこの数カ月は長かったけど、自分を信じて精神的にタフに戦い続けてきた。そして今は良い感覚を得つつある。プレーオフでこの感覚をどれだけ長く維持できるか、そこに集中したい」