ドリュー・ホリデー

新天地でリーダーシップを発揮、長期契約を勝ち取る

オールスター2度選出のポイントガード、ドリュー・ホリデーがセルティックスと4年総額1億3500万ドル(約200億円)の契約延長に合意した。

ホリデーは2009年のNBAドラフトで1巡目17位指名を受けてセブンティシクサーズでデビュー。以後、ペリカンズで実績を積み、2020年に移籍したバックスではヤニス・アデトクンボと組んで2020-21シーズンにNBA初優勝を経験した。この時はNBA優勝の直後に東京オリンピックに参加。チームメートの個々の才能を即興でも最大限に引き出すプレーメークでアメリカ代表の金メダル獲得に貢献してもいる。

ホリデーはバックスで現役生活を全うするつもりだったが、今シーズン開幕前に激動のトレードを経験することとなった。デイミアン・リラード獲得に動いたバックスから放出されてトレイルブレイザーズへと移るも、その直後にロバート・ウィリアムズ三世とマルコム・ブログドン、1巡目指名権2つとのトレードでセルティックスへ。セルティックスはもともと東カンファレンスのトップチームだが、ホリデーの堅実なプレーメークとディフェンスが加わったことで安定感が増し、62勝17敗とぶっちぎりの強さを示すに至っている。

ホリデーはポイントガードとしての優れた能力だけでなく、人格者でありチームリーダーとしても評価が高い。ジェイレン・ブラウンが27歳、ジェイソン・テイタムは26歳と両エースがまだ若いセルティックスにおいて、ホリデーはすぐにチームに馴染むとともにリーダーシップを発揮。この部分での貢献もまた、セルティックスが長期契約を提示した理由だろう。

ホリデーはバックス時代に結んだ現在の4年契約をあと1年残していたが、プレーヤーオプションとなっている最終年を破棄し、2027-28シーズンまでの新たな長期契約を結ぶとのこと。彼が破棄する契約最終年の年俸は3900万ドル(約60億円)だったが、新たな契約ではこれが3000万ドル(約45億円)まで下がる。ここでサラリーキャップを抑制することで、セルティックスはジェイレン・ブラウン、ジェイソン・テイタム、クリスタプス・ポルジンギスにデリック・ホワイトというコアメンバーを維持できる。一方で現在33歳のホリデーは、来シーズンの年俸こそ下がるが長期契約を結ぶことで、安定したキャリア晩年を過ごすことができる。

ホリデーは33歳と若くはないが、今シーズンここまで79試合のうち68試合とコンスタントにプレーを続け、平均12.5得点、5.4リバウンド、4.9アシストを記録。バックスでプレーしていた昨シーズンから得点は19.3から12.5に、アシストは7.4から4.9へと大きく落としているが、セルティックスでは得点でもアシストでもプレーシェアを徹底している結果で、むしろチームがシーズンを通して盤石の強さを発揮していることへの貢献が高く評価されている。

そして、これはダニー・エインジからブラッド・スティーブンスへとセルティックスの編成を司る人物が代わったことでのチーム作りの変化を示すものでもある。スティーブンスはエインジよりも明らかに『継続路線』を好み、大きな変化よりも毎年積み上げるチーム作りを進めている。今シーズン絶好調のセルティックスは、もちろん間もなく迎えるプレーオフでの優勝を目指すが、その出来にかかわらず今のチームを維持し、分厚くし、積み上げるつもりだ。