ヤニス・アデトクンボ

ブルック・ロペス「最後の1週間をタフに戦い抜く」

現地4月9日のバックスvsセルティックスは、104-91でバックスの完勝に終わった。首位のセルティックスを今シーズン最少の91得点に抑え、前半だけで20点リードを作り上げる試合運びは見事だったが、試合後のコーチや選手たちに笑顔はなかった。ヤニス・アデトクンボがケガをしていたからだ。

第3クォーター途中、自分たちのポゼッションでデイミアン・リラードがボールを運ぼうとしているところで、アデトクンボは突然コートに倒れた。誰とも接触はしておらず、走ったり跳んだりしたわけでもない。しばらく座り込んで左足に触れていた彼は、自力で立ち上がることができなかった。兄のサナシス・アデトクンボとブルック・ロペスに支えられてコートを離れた後、ロッカールームへと向かう通路では自分の足で歩く様子が確認できた。

サナシス・アデトクンボはロッカールームまで弟に付き合った。『milwaukee journal sentinel』の取材に対してサナシスは「コートに戻ると、ベンチのチームメート全員が僕を見ていた。スタンドのファンの多くも僕を見ていたように思う。すぐに思ったのは、みんなの意識を試合に向けさせることだ」と語る。「それと同時に、『神様、僕の弟に何もおかしなことが起きませんように』と願っていた。普通だったら僕らは倒れても起き上がり、プレーを続ける。そうじゃなければ、何か深刻なことが起きているかもしれず、そこにストレスを感じるものだ」

アデトクンボが精密検査を受けるためにアリーナを離れたのは試合終了後で、その時点で兄のサナシスがケガについて何かを理解していたわけではない。それでも彼はチームを前に向かせるために必要な行動を取り、「このチームに勝つための良い習慣ができつつあるのは良いことだ」と語った。

デイミアン・リラードは、アデトクンボが倒れた時に最も近くにいた。「彼の反応や表情を見てマズいと思った。でも立ち上がる時に足に体重をかけらていたから、それで思ったほど悪くはないかもしれないと感じ、自分の足で歩き出すのを見て少しホッとした。チームメートの誰であれ、ケガはしてほしくない。僕らは家族よりも多くの時間を一緒に過ごしているからね。今はただ、彼が早く健康になってくれることを願いたい」

ケガをした当初はアキレス腱断裂が疑われたが、幸いにもそれは避けられ、MRI検査によりふくらはぎのヒラメ筋の肉離れと診断された。チームの発表によれば、レギュラーシーズン残り3試合は欠場し、プレーオフでの復帰に向けてリハビリをしていくとのこと。リラードは同じケガを2021-22シーズン前半に経験しており、その時は2週間の戦線離脱となった。バックスのプレーオフは11日後に始まる。

アデトクンボは昨年夏に左膝の遊離軟骨除去手術を受けている。この手術によりワールドカップ出場を回避することになったが、今シーズンのトレーニングキャンプには間に合った。ただ、シーズンが始まると左足首の捻挫、左アキレス腱の炎症に悩まされてきた。先月には左足のハムストリング痛で3試合を欠場。このあたりにトラブルが集中しており、無理がたたって今回のケガが起きたようだ。

プレーオフ初戦からアデトクンボが100%のコンディションでプレーするのがバックスにとっては最善のシナリオとなるが、しばらく復帰がずれ込むこと、あるいは復帰当初は万全ではないケースは想定される。それでもボビー・ポーティスはこう語った。「僕らのチームを見てくれ。コーチの交代やラインナップの変更はあったけど、同じメンバーでシーズンを通して戦い、多くの逆境を乗り越えてきた。何でも経験してきた百戦錬磨のチームなんだ」

ブルック・ロペスも言う。「ヤニスにとって一番良い状況を望んでいるけど、僕らはプレーオフまでの最後の1週間をタフに戦い抜いてみせるよ」