三ツ井利也

群馬を相手に2試合連続で延長に持ち込むもあと一歩及ばず

B1第30節の第2戦、信州ブレイブウォリアーズは群馬クレインサンダーズに85-89で敗れ、連敗は18まで伸びた。シーズン成績も6勝44敗でリーグワースト2位。残り10試合となったところで、残留ラインの茨城ロボッツまで3ゲーム差と広がり、崖っぷちに立たされている。

連敗は続いているものの、今節も両日オーバータイムになったように直近7試合はすべて1桁点差での敗戦だ。接戦に持ち込んでいるこの状況を、勝久マイケルヘッドコーチは「ウェイン(マーシャル)が戻ってきてから、より戦えるようになってきて、良い方向にチームが行っているのは間違いないです」と評価している。ただ、以下のように現在のチームに足りていない部分について言及した。「勝利まであと一歩ではありますが、その一歩が大きいと感じられるのはメンタリティーの部分です。シュートの調子などに関係なく、勝てるようにコントロールできることにフォーカスして40分間遂行すること。このメンタリティーの成長が何より必要です」

今回の試合でチームを支えたのが三ツ井利也だった。持ち前のディフェンスはもちろんのこと、要所で3ポイントシュートを2本成功させ、終盤にはドライブから得点を挙げてチームを盛り上げた。ファウルトラブルに陥ったジャスティン・マッツに代わり、求められる仕事をしっかり遂行したと言える。

三ツ井はこの試合を「最後まで勝つチャンスがある試合でした」と振り返る。「試合の最初から遂行力を高めていく必要がありました。インサイドで優位に立てるので、そこに固執してしまった。もう少し相手のディフェンスを読んで効率の良いプレーができれば、結果は変わっていたのかなと悔しさが残ります」

勝久ヘッドコーチも「トレイ・ジョーンズ選手にマッチアップできるのは利也しかいないです。もっともっと強いプレーヤーになってほしいと思っている中で、今日はシュートを決められたこともよかったですし、本当によく頑張ってくれました」と評価した。

地元・長野市出身である三ツ井は、Bリーグ初年度の2016-17シーズンに特別指定選手として信州に加入し、以降8シーズンに渡り信州一筋でプレーするフランチャイズプレーヤーだ。B1昇格など様々なことを経験し、人一倍このチームに対する想いは強い。苦しい戦績ながら、前を向いているチーム状況についてこのように話してくれた。「僕が特別指定選手で入った時も負けが続いていましたし、下手をすればB3降格という状況でした。その時と比べても、今のチームは一切あきらめていないです。どうにか1つの勝利をもぎ取ろうと試行錯誤を繰り返しています」

ただ、それと同時にうまくいかない状況への心苦しさも感じているという。「試合になって用意してきたものが40分間やり通せなかったりします。今まで積み上げてきたものをやり通せれば、結果が変わってくるんでしょうが、やり切れないもどかしさがあります。『良い試合だった』はもういらないですし、どんなに内容が悪くても勝たないといけません。残り試合は少ないですが、今まで以上に貪欲にやっていきます」

この試合はアウェー戦にもかかわらず、多くのブースターが会場に足を運んでいた。1月27日のレバンガ北海道戦以来、2カ月以上勝ち星に恵まれないチームを後押ししようと声を枯らして応援する姿があった。三ツ井は「多くのブースターさんが会場に駆けつけてくれて、ホームでやっているような感覚でプレーできました。もどかしいどころか期待を裏切っている成績で、厳しい意見もいただいている中、あきらめずに応援してくださっているファンの皆さんのためにも笑って終われるシーズンにできるようにチーム一丸となって戦っていきます」とブースターへの想いと決意を語ってくれた。

Bリーグ開幕以後の信州の歴史を知る唯一の選手として、三ツ井はチームにとってかけがえのない存在である。良い時も悪い時も知っているからこそ、B1残留への想いは強いだろう。その想いをプレーで表現し、チームを勝利に導いてほしい。シーズンは残りわずかだが、信州の歩みは確実に前に進んでいる。