125kgの巨体を生かしたパワームーブと、柔らかいシュートタッチを兼備

今アメリカで最も注目を集めているバスケットボールイベントは、大学バスケのNCAAトーナメントだ。現地6日には『ファイナル4』と呼ばれる準決勝、8️日には決勝が行われる。今年の男子ファイナル4に進出したのはコネチカット大、パデュー大、アラバマ大、ノースカロライナ州立大だ。

全68チームが参加するNCAAトーナメントは4つのブロックに分かれ、それぞれのブロックで第1シードから第16シードにランク分けされる。コネチカット大とパデュー大は、ともにレギュラーシーズンから安定した強さを誇ると第1シードで大会を迎え順当に勝ち上がってきた。アラバマ大も第4シードが示すように元々、実力は高く評価されていた。一方、大きなサプライズとなったのが第11シードのノースカロライナ州立大だ。

レギュラーシーズンにおいて、ノースカロライナ州立大は所属するACCカンファレンスで全15チーム中10位となる9勝11敗、特に最後は4️連敗と平凡な内容だった。そのため同校が、NCAAトーナメントに出場するには最後に行われるカンファレンストーナメント優勝しかない状況となった。ただ、それまでの戦いぶりからさすがに不可能と思われていたが、デューク大、ノースカロライナ大と難敵を次々と撃破して奇跡の優勝を成し遂げる。

この勢いはトーナメントに入っても継続され、ノースカロライナ州立大は上位シードを次々と撃破。そしてベスト8で同じACCカンファレンスのデューク大と再戦し76-64と快勝。1983年以来のファイナル4に駒を進めた。

このミラクルを牽引した人物であり、ファイナル4の舞台において最も注目されているのが4年生ビッグマンのDJ・バーンズJr.だ。206cm、125kgと一際目立つ体格のバーンズJr.は、そのサイズを生かした強力なパワームーブに加え、鋭いスピンムーブや柔らかいシュートタッチなど、テクニックにも優れている。また、視野の広さやパスのうまさも評価されている。

NCAAトーナメントでは、8強のデューク大戦でフィールドゴール19本中13本成功の29得点に加え、4リバウンド3アシスト2ブロックの大暴れ。ここまでトーナメント4試合でも平均18.3得点(フィールドゴール成功率67.4%)、5.0リバウンド、3.5アシストを記録と見事な数字を残している。

テクニックに優れた巨漢といえば、その最高峰にいるのがナゲッツのニコラ・ヨキッチ。ヨキッチはバーンズJr.の活躍ぶりについて「彼は、特に左利きとしてスキルのある選手だ。僕も左利きになりたいよ。そしてチームメートは彼と一緒にプレーするのが好きみたいだね」と讃えている。

大学最終年の最後の大舞台で大きな飛躍を遂げているバーンズJr.だが、今のNBAにおいては機動力が大きな課題として、ドラフト指名される可能性は低いだろう。だが、ヨキッチのように周囲の低評価を覆してスターになる可能性はある。まずはファイナル4でどんなプレーを見せてくれるのか楽しみだ。