パトリックHC「相手がラフな時でも聡理は何も怖がらない」
千葉ジェッツは3月27日、ホームで宇都宮ブレックスと対戦。天皇杯セミファイナルで敗れたリベンジに燃える相手に序盤からゴール下の肉弾戦で主導権を握られると、さらにテンポよく放つ3ポイントシュートを食い止められず70-93で敗れた。
チャンピオンシップでも対戦する可能性があるライバルにホームで痛恨の大敗を喫した千葉Jだが、第3クォーターには意地を見せた。前半で29点の大量リードを許した上に、後半早々にインサイドの要であるジョン・ムーニーが負傷しベンチに下がった。ここで集中力が切れてもおかしくなかったが、逆に残ったメンバーが奮起し、一時は12点差にまで詰め寄る反撃を見せ会場を沸かせた。
この第3クォーターの猛追に大きく貢献したのが、1月に特別指定で加入したばかりの内尾聡理だ。福岡第一高校3年時には河村勇輝、チームメートの小川麻斗らと主力を担い、インターハイ、ウインターカップの2冠を達成。中央大学でも中心選手として活躍し、千葉Jの一員となった。
内尾は高校時代から豊富な運動量とフィジカルの強さを生かしたディフェンスが持ち味で、福岡第一ではエースキラーを担っていた。Bリーグの舞台でもその守備力で早くもインパクトを与えている。24日のアルバルク東京戦ではテーブス海、そして今回の宇都宮戦ではDJ・ニュービルとマッチアップし、密着マークで相手の攻撃の起点にプレッシャーを与え続けた。
ジョン・パトリックヘッドコーチは「相手がラフで肘やプッシングがある時でも、聡理は何も怖がらない。日曜日も今日も良いシーンがいっぱいありました」と内尾を評価している。
チーム合流から約2カ月が経ち、徐々に出番を増やしている現状を内尾はこう語る。「加入した当初は(同じポジションの2番、3番で)ケガ人が多かったので、出場するチャンスがあるかなと思っていましたが、少ないチャンスで自分を出し切れずにいました。今は徐々に自分の持ち味をアピールできています」
「大きいガードにもついていけて、簡単にポストプレーさせない部分は利点です」
このアピールできている部分とは、もちろん持ち味としている守備力だ。「ディフェンスは自分の仕事で、ずっと積み重ねてきたものです」と千葉J加入前からプライドを持っており、「試合に絡んでいく中で、ある程度は1on1の部分でついていけることが分かってきました。そこは自信になっていくと思います」と、手応えを得ている。
ただ、タレント豊富な千葉Jにあって「これを一過性のものとして終わらないようにしたいです」と、危機感も持っている。そして、激しいチーム内競争を勝ち抜くために、ディフェンスでは次の部分に磨きをかけたいと意気込んだ。
「サイズはある方ではないですが、ニュービル選手や大きいガードにもついていけますし、簡単にポストプレーをさせない部分は利点だと思っています。原(修太)さんのように誰とマッチアップしても止められる選手になりたいです。そこを積み重ねて、プレータイムをもっと勝ち取りたいです」
もちろん、オフェンスも今のままではいけないと理解している。「オフェンスはまだまだシステムの部分などで、あまり理解できていないです。(富樫)勇樹さんにマークが寄る中、チャンスでシュートを決め切ることはこれからも大事ですし、プロ生活を通してキーポイントになっていく。そういうところはしっかり上げていきたいです」
ちなみに内尾の姉である聡菜は、Wリーグの富士通レッドウェーブで不動の先発メンバーを務める、リーグ屈指のディフェンス力を誇るウイングだ。「姉は意外と試合を見てくれているようで、『今日はこうだったね』とか、メッセージをくれます」と、姉弟の交流を明かしてくれた。
奇しくも、Wリーグは明日からプレーオフがスタートとシーズンの佳境を迎える。内尾姉弟が揃って得意のディフェンスで活躍する姿に期待だ。