「経験不足を努力で補い、できることはすべてやった」
ニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーが欠場したナゲッツ戦は、トレイルブレイザーズにとってアップセットの大きなチャンスだったが、19勝52敗で西カンファレンス14位のチームにとって、もはや勝利は主な目的ではなかった。アンファニー・サイモンズが膝を痛めて精密検査の結果待ち、ジェレミー・グラントにマルコム・ブログドン、ディアンドレ・エイトン、マティース・サイブル、シェンドン・シャープと多数のケガ人を抱える状況で、指揮官チャウンシー・ビラップスは5人のルーキーを先発に並べた。
シーズンを通してローテーションに入っているスクート・ヘンダーソンとトゥマニ・カマラ、クリス・マレーと、プレータイム確保に苦しむドゥオップ・リースとライヤン・ルペアのラインナップは『ぶっつけ本番』であり、さらには9人ローテでベンチから出た4人のうち、最もNBAキャリアの長いモーゼス・ブラウンでもNBA4年目の選手。他には3年目のダラーノ・バントン、2年目のジャバリ・ウォーカー、ルーキーのアシュトン・ヘイガンズが出場した。
試合の大半でナゲッツにリードされ敗北したが、ブレイザーズにとっては失望ではなく期待しかない結果となった。ビラップスは試合後、「すごく良かった。リミックスは最高だ」と語っている。この『リミックス』とはブレイザーズ傘下のGリーグチーム、リップシティ・リミックスのこと。今シーズンに新設されたチームで、ルーキーでリミックスに送られることなくプレーし続けているのはヘンダーソンとカマラのみ。他の選手はブレイザーズで出番がない間は新たなGリーグチームで経験を積んできた。
ナゲッツ戦で若手たちは自分のキャリアを切り開くべく思い切りの良いプレーを連発した。最も目立ったのはセンターのリースで、経験豊富なディアンドレ・ジョーダンやアーロン・ゴードンを相手に奮闘。ルーキーとはいえ海外でのプレー経験が長く、代表経験もある27歳のリースは、チームハイの24得点に8リバウンドを記録している。
リードした時間はほとんどないとは言え、第2クォーター序盤に最大15点差を付けられても積極性を失わず、第4クォーター残り9分にはカマラとヘンダーソンの連続3ポイントシュートで一瞬ではあるが逆転に成功している。アグレッシブに行きすぎた結果、そこからターンオーバー連発で失速したが、彼らが経験を積むという意味においては何のインパクトも残さないより、好守に積極性を出す姿勢はプラスだった。
ビラップスは言う。「選手たちは無我夢中で戦った。勝敗は別として最後まで相手に食らい付き、自分たちのバスケをやろうとした。今日は普通の試合じゃない。そこで彼らは学んで、次にチャンスを得た時により良いプレーができる」
2年目のジャバリ・ウォーカーはベンチから26分間の出場で15得点9リバウンドを記録。「僕らは経験不足を努力で補おうとして、できることはすべてやったと思う」と語る。今日より長いプレータイムをもらうことはあっても、今日の試合ほど大きな役割を背負ったことはない。それを果たせたことが彼にとっては自信となる。「Gリーグで経験を積んだ選手はより強く、よりアグレッシブになって、自分らしさを開花させたように思う。それが今日のコートでは示された。このチームには才能ある選手が多いし、正しい考え方でバスケに取り組んでいる。このチームの今だけでなく将来を考えると、僕はとても楽観的になれるんだ」
ルーキーを先発で並べ、ベンチメンバーも若手ばかりでは試合に勝てないが、そういう状況に追い込まれた試合でブレイザーズはチームとしても選手個々としてもベストを尽くした。再建1年目は必ずしも上手くいっているとは言えないが、バスケに取り組む姿勢とチームスピリッツは出来上がりつつある。