水野ヘッドコーチ「流れを完全に渡さない我慢強さがついてきました」
3月20日、群馬クレインサンダーズがホームにアルバルク東京を迎えた。9連勝の勢い通りに序盤からトランジションが機能した群馬だったが、徐々にA東京の固いディフェンスに阻まれるようになり、接戦の末87-89で敗れた。
「自分たちのミスもあって勝てる試合を落としてしまいましたが、先の試合に繋げていきたいです」と悔しさを滲ませながらも前を見据えたケーレブ・ターズースキーは、この試合で18得点9リバウンド1ブロックを記録した。
ゲームのオープニングシュートをゴール下で成功させると、次のポゼッションでは最前線を走りイージーバスケットと、開始直後から連続得点を奪いチームに勢いを与えた。さらにディフェンスリバウンドを獲得したところから速攻で走ってバスケット・カウントを決めるなど、第1クォーターだけで7得点を挙げ、A東京から11点のリードを奪う立役者となった。
水野宏太ヘッドコーチも「第1クォーターはトランジションなど自分たちの強みを存分に出せた試合展開を作れました」と振り返るように完全にペースを握ることができた。しかし、第2クォーター以降はA東京のディフェンス強度が上がり、トランジションも封じられてしまった。重たいハーフコートバスケになってしまったことで、年明け以降の成功率が40%弱と好調だった3ポイントシュートは21.4%と不発。チームのアシストはシーズンワーストの11本のみに留まった。しかし、ディフェンス面ではA東京から15個のターンオーバーを奪うなど奮闘し、最終クォーターは再び流れを引き寄せ接戦に持ち込んだ。
ターズースキーは「結果は自分たちの思い通りにはなりませんでしたが、自分たちがやれたことで良い部分もあったと思います」とショッキングな敗戦ではあったが、手応えも感じていた。
水野ヘッドコーチも同様に「相手に流れがいった後でも、完全に流れを渡さない我慢強さが後半戦になってついてきました。終盤にもう1度自分たちの流れにすることができましたが、要所で相手に良いシュートを決められてしまいました」と振り返ったが、「球際の強度だったり遂行する意思だったり、ローテーションも前半戦よりもできています」とディフェンス面の向上については評価した。
「チームとして戦いながら試合を積み重ねていってチャンピオンシップへ」
今シーズン、ここまでターズースキーを全試合で先発起用しているように、水野ヘッドコーチは彼に対する信頼が厚い。「身体を張って、ファウルをもらいフリースローにも立って、良い流れの時の彼の走力など役割を持ってプレーしてくれている」
この試合でも、3シーズンに渡りイタリア1部でチームメートだったアルトゥーラス・グダイティスとインサイドで激しい競り合いを繰り広げていた。マッチアップについて「彼はイタリアで一緒にプレーしていて、仲の良い友人です。このような接戦で彼のチームに負けてしまったのは悔しいですが、対戦できたのはうれしいことです」とにこやかに答えてくれたが、苦笑いも混じり悔しそうでもあった。
実際、グダイティスには7本のオフェンスリバウンドを取られており、チームのリバウンド数でもA東京に圧倒されてしまった。この敗戦から生かせることとして、ターズースキーは「チームとしてリバウンドを争うことが大事なことだと思います」と話している。ただし「チーム全員で戦うことに関しては改善できていることが多いです」と話した上で、他の課題同様にリバウンドもやり続けていくことが大事だと語った。
水野ヘッドコーチも「トレイ・ジョーンズのアクシデントがあった中で、チームが勢いを止めることがなく戦えたのは自分たちの成長を感じられる部分でした」と言う。チーム全員で戦い続けた結果が、終盤に見せたカムバックできる力に繋がっているのだろう。
記者会見で水野ヘッドコーチは「自分たちにとっては勝たなければいけない試合という位置付けでした」と最初に口にした。それだけこの一戦に勝つことの重要性を感じていた。結果は伴わず、ここまで続いていた連勝こそ止まったが、「残り17試合、どうやってもう1度カムバックして自分たちの目指す場所に行くのかが大事になってきます。この敗戦を引きずらずに次の試合に向けて勝ちを手繰り寄せられるようになるかが重要です」と前を向く。
ターズースキーは「これまでも1つひとつをこなして、今の結果に繋がっています。残り試合は限られていますが、毎日の練習を大切にしていき、チームとして戦いながら試合を積み重ねていって、チャンピオンシップにたどり着けたらと思っています」と自分たちが今までやってきたことを信じて残りの試合に臨むと意気込んだ。
現在、群馬は24勝19敗でワイルドカード下位までわずか1ゲーム差。昨シーズンから比べるとステップアップしており、チャンピオンシップ進出やその先をも見据えられる状況だ。今シーズンはA東京や千葉ジェッツ、琉球ゴールデンキングスなどにも勝利し、上位チームとも十分に戦える力があることを証明している。残り試合は少なくなってきたが、このチームの可能性を信じて大きく飛躍していって欲しい。