アンソニー・エドワーズ

強烈すぎるダンクで指を脱臼するも、活躍は止まらず

NBAでダンクに採点が付けられるのは、オールスター・ウィークエンドのスラムダンクコンテストだけで、試合でのダンクに賞が贈られることはない。それでも、ダンクがバスケの華であることに疑いの余地はなく、ファンであれば何かしら自分の中で強烈な存在感を放つダンクをいくつか思い浮かべることができるだろう。

ファンの間で『今シーズン最高のダンク』を受賞しそうな一発が、ティンバーウルブズvsジャズの第3クォーター残り5分半に生まれた。相手がファンブルしたボールを拾ったアンソニー・エドワーズは、ニキール・アレクサンダー・ウォーカーにボールを託すと自陣からリムへと加速する。リムを唯一守るジョン・コリンズがドライブを阻もうと制限区域の手前で立ちはだかったものの、そのエドワーズはその手前で力強く踏み込んで跳躍し、身長206cmのコリンズの上から右腕を大きく振り下ろすスラムダンクを叩き込んだ。

強烈すぎるポスタライズダンクは場内を騒然とさせ、2人のケガ人を生んだ。エドワーズに衝突されて額を打ったコリンズはフロアに倒れてしばらく起き上がれなかった。そしてエドワーズも自らのダンクが強烈すぎたことで右手の指を脱臼し、興奮して駆け寄るチームメートの祝福に応えられずロッカールームへと直行している。エドワーズが応急処置をする時間を稼ぐためにウルブズはタイムアウトを使ったが、彼はその時間で指にテーピングを巻いて戻って来て、バスケット・カウントのボーナススローを放った。一方、コリンズは脳震盪の恐れがあるとして試合には戻れなかった。

エドワーズは前半は7得点、後半開始からダンクまでの6分半でも2得点と低調だったのだが、指を痛めた影響は全く見せず、むしろ自分のダンクでリズムをつかみ、その後に20得点を挙げている。カール・アンソニー・タウンズが膝を手術して戦線離脱し、この試合ではルディ・ゴベアも脇腹の痛みを訴えて欠場している中で、強烈なパフォーマンスでチームを引っ張った。結果、前半は53-59と負けていたウルブズは最終スコア114-104で逆転勝利を収めている。

強烈すぎるダンクをエドワーズは「震えたよ。ビンス・カーターや『T-Mac』(トレイシー・マグレディ)のような選手が相手の上からダンクを叩き込むのを見てきた。ああいうダンクを決めるのが僕の夢だったから」と振り返る。「リムからまだ遠かったから決まらないかと思った。でも神様が僕のために決めてくれた」

ニキール・アレクサンダー・ウォーカーはベンチから出てセカンドユニットでは最多となる13得点に5アシストを記録。その一つがエドワーズのダンクのアシストだった。「みんな何を見たのか理解していないんじゃないかな。一歩踏み出してネットに手が触れるかどうか試してみれば、そのすごさが分かると思う。あれは僕が今まで見た中で最も無茶苦茶なプレーだった。帰ったら子供たちに話すよ。僕がアシストしたんだぞ、一瞬シュートを打とうと思ったけどパスに切り替えたんだ、ってね」