ニック・ファジーカス

文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦 取材協力=バスケットLIVE

「日本中が後押ししてくれていると感じている」

ワールドカップ予選のラスト2試合、21日のイラン戦と24日のカタール戦。アウェーで迎える正念場に向けて、日本代表はトルコに入り調整を進めている。もっとも、この予選は0勝4敗という悪夢のスタート。この時点でワールドカップ行きは絶望に思えたが、日本代表は6連勝と盛り返した。その原動力となったのがニック・ファジーカスだ。長らくNBLとBリーグの『最強外国籍選手』だったファジーカスは、昨年4月に日本国籍を取得。フリオ・ラマスは待ってましたと言わんばかりにすぐさま代表チームに招集した。ファジーカスは日本代表デビュー戦で25得点12リバウンドと活躍。オーストラリア相手に大金星を挙げる立役者となった。

「自分が加わる前の4試合は、外から見ていてガッカリすることもあった。参加している選手たちがどれだけ勝ちたい気持ちを持って臨んでいるか分かっていたので残念だった。そこから6連勝して勢いに乗り、日本中が後押ししてくれていると感じているので、ワクワクしている」とファジーカスは代表について語る。

Bリーグが始まってバスケットボールの認知が高まったことに加え、川崎ブレイブサンダースのエースであるだけでなく、日本代表のキーマンになったことで、ファジーカスの知名度も上がった。ファンの熱気を肌で感じるか、という問いに彼はこう答える。「川崎周辺を歩くのも誰かに気づかれるし、Bリーグの試合の入場者数も増えている。多くのメディアが来るのも過去には考えられなかったことなので、強く感じている」

ニック・ファジーカス

「チームとしてレベルを上げるチャンス」

圧倒的なシュート力に加えて常にチームのためにプレーする献身ぶりもあり、ファジーカスの人気も高まっている。ファンの応援が実際のプレーにどう影響するかは「すごくプラスになる」と断言する。「ファンのエナジーを感じる時、バスケットをよく理解しているファンが試合の流れを感じる時に、ここで応援することが大事、声を出すことが大事というのはすごく力になる。もちろん個人的に「ニック、頑張って」という声も力になるが、それ以上にエナジーを感じて、このタイミングで応援する、というのがすごく影響を与える」

アメリカの大学バスケ、ヨーロッパやアジアのリーグも経験しているファジーカスだが、今の日本の応援との差は「特に大きな差は感じない」と言う。「日本でもバスケットに対する理解は深まっている。先ほども言ったように、試合の流れを感じ取ることができれば。ここで応援する、ここで声を出す、ホームチームのために応援するんだというのが根付いてくれば、海外と変わらないよ」

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今回のWindow6の2試合は、高みを目指す彼にとってはあくまで通過点。「練習してチームとしてレベルを上げるチャンスなのでワクワクしている。自信を持って臨むよ」とファジーカスは言う。チームを勝利に導く働きを、今回の2試合でも期待したい。