「日本のバスケが変わったことを見せたい」
先週末のリーグ戦を終えて、日本代表に招集された選手たちはナショナルトレーニングセンターでの合宿に入った。最初のイラン戦は21日だが、チームは明日に日本を発つ。早めに移動して時差の調整を含めた最終調整を行い、ワールドカップ予選のラスト2試合に臨む。
Bリーグは全60試合のうち40試合を消化。ミッドウィーク開催の多い過密日程が続き、どの選手も疲労が蓄積している。ハードなプレーを身上とする選手ならなおさらだが、馬場雄大は「リーグ戦はいったん休憩です。リーグはリーグ、代表は代表で切り替えています」と語る。
「みんな代表に集中して意気込んでいるし、一人ひとりが日本代表という責任を持って戦うつもりですから、コンディション云々は言っていられません。僕自身も日本代表の試合には特別な思いがありますし、バスケットボール関係者すべての思いを背負って戦いたい。そういった部分ではコンディションの部分は言ってられないです。ワールドカップに出場することだけを考えてここまで頑張ってきました。それが目の前に来ているので、貪欲につかみ取りにいきます」
コートに入れば常にエナジー全開の馬場だが、コートを離れると普通の23歳。そんな彼が、代表に合流した時点で闘志に満ちた『戦闘モード』になっている。渡邊雄太と八村塁が不在となる今回は、『国内組』の日本代表の真価が問われる。これまで以上に攻守に激しさを出し、特にオフェンスで切り崩す起点となってチームに流れを呼び込むことが馬場には求められる。それを理解しているからこその意識の変化なのだろう。「あの2人が作った道しるべを僕たちが伸ばして、突き進んでいきたい。そして2人がいなくても日本は勝てるんだとアウェーの試合で証明したい。日本のバスケが変わったことを見せたいです」と意気込む。
「国際試合で馬場雄大をどうアピールするか」
アルバルク東京と契約してプロになる前から海外志向が強かった馬場は、Bリーグで経験を積んだ後に海外挑戦に乗り出す気持ちを抱き続けている。夢を実現させるために、国際大会でのアピールは大切だ。「将来的にはBリーグからNBAに行きたいです。そのためには数少ない機会を生かす必要があります。国際試合で馬場雄大というプレーヤーをどうアピールするかを考えないといけない」
NBAで奮闘する渡邊、NCAAで主役を張る八村の活躍は、同世代の馬場を刺激し続けている。「2人を見ているとバスケが格闘技みたいで、自分たちはきれいにやろうとしていると感じます。そこは負けないように。見習うべきところは見習いたい」
「出ている間は常にハードワークする、重い展開でも走り切るのが自分の持ち味です」と馬場は自身のプレースタイルを語る。十八番のダンクについても「流れを変える意味ではダンクは価値があるので、そこを強みにできるプレーヤーでありたい」と語るとともに、ダンクに限らずすべての面でアグレッシブにプレーしたいと意気込む。「Bリーグと国際試合は違います。技術もそうですけど、一番は気持ちのところ。リバウンドやルーズボールに行く気持ちの部分が違うので、そこを前面に出していきたいです」
イランもカタールも、ホームでは勝利した相手。それでも今回のWindow6で日本にリベンジするために、様々な手段を講じてくるはずだ。ただ、馬場は相手にアジャストするよりも、自分たちのバスケットに集中すべきだと言う。「僕たちがいかにヘッドコーチの考えるバスケットボールをできるか。自分たちのバスケを信じて戦えば勝てると思っています。注目される試合ですが、プレッシャーに感じるのではなく、良い意味で責任を感じてやっていきたい。オリンピックもありますが、その前の一歩としてワールドカップも大切なので、1試合1試合やっていきます」
日本代表デビューを果たし、大学からプロへと転向。短期間で大きく立場を変えた馬場は、日本バスケ界の大一番を前に「僕が先頭を切ってやっていきたい」と語るまでに成長した。いまや日本代表に欠かせない主力選手、馬場雄大の大活躍に期待したい。