ビクター・ウェンバニャマ

30年間出ていない『クアドルプル・ダブル』達成も期待

スパーズはラプターズに122-99と快勝してシーズン11勝目を挙げるとともに、連敗を7で止めた。この試合で強烈なインパクトを放ったのはビクター・ウェンバニャマだ。ルーキーの彼はNBAでの48試合目にして2度目のトリプル・ダブルを記録。ただアシストは5に留まり、得点とリバウンド、そしてブロックショットでのトリプル・ダブルという滅多にない記録を残した。27得点14リバウンド10ブロック、そのすべてがゲームハイの数字。しかも圧勝する展開で29分しかプレーしていないにもかかわらず、この数字を叩き出している。

これでウェンバニャマの通算ブロック数は153となった。140のブルック・ロペス、138本のチェット・ホルムグレンを押さえて堂々のリーグトップだ。そして、ブロックを含むトリプル・ダブルを前回記録したのは、2021年1月のクリント・カペラで、13得点19リバウンド10ブロックだった。2桁のブロックが記録されたこと自体、NBAではそれ以来の出来事となる。

「今日はものすごく良いメンタルで、リズム良く試合に入ることができた。なぜかは分からないけど、それもNBAなんだろうね。調子には浮き沈みがあるけど、今日は最高に調子が良かった」とウェンバニャマは言う。

指揮官グレッグ・ポポビッチは、「このところ彼は疲れていたようだが、それを乗り越えて調子を上げてきた。あらゆるプレーを少しずつこなし、オールラウンドな才能を見せてくれた。どのプレーでもセンスの良さを見せている」と語る。デビン・ヴァッセルも称賛の言葉を惜しまない。「とてつもない選手だよ。ルーキーイヤーでこれだけ活躍するんだから、数年後にはどうなっていることか。その時のチームのケミストリー、僕と彼のプレーがどうなっているか楽しみだ」

NBAデビューからここまで48試合でダブル・ダブルを26回、トリプル・ダブルは2回記録しているウェンバニャマはおそらく、今後も2桁ブロックを何度もやってのけるだろう。今後のキャリアの長さを考えれば、いずれは得点、リバウンド、アシスト、ブロックの『クアドルプル・ダブル』も記録するはずだ。その可能性についてウェンバニャマは「一瞬、考えた」と正直に語るも、「でも、やっぱり優先するのはチームの勝利だよ」と続けた。

『クアドルプル・ダブル』はNBAで過去4人しか記録していない。最後に記録されたのはもう30年前で、それはスパーズのデイビッド・ロビンソンによるものだった。これを知っていたかと問われたウェンバニャマはこう語る。「僕が生まれるよりずっと前の話だけど、僕はスパーズの一員として彼のことを学んだし、映像も見た。彼の名前の隣に自分の名前があるのだとしたら、それは素晴らしいことだ」

普通のセンターであれば『使われる側』でアシストは伸びないが、ウェンバニャマはプレーメークも担当しており、これまで平均3.2アシストを記録し、1試合での最多アシストは7だ。この試合では5アシストを記録した一方で、ターンオーバーが7つあった。もう少しミスを減らし、チームメートが確率良く決めることでウェンバニャマにアシストを付け、競った試合展開でプレータイムがもっと長くなれば、2桁アシストも不可能ではない。