「自分たちの持ち味であるディフェンスの強度を高めていけたのは大きかったと思います」

1月31日、横浜ビー・コルセアーズはホームでシーホース三河と対戦。最後までもつれる熱戦の中、残り2秒に須藤昂矢が逆転の決勝3ポイントシュートを沈めた横浜BCが75-74で激闘を制した。

試合の立ち上がり、横浜BCはオフェンスの終わり方が悪くトランジションを何度も許すことで、2-10とリードを許す。しかし、ここから横浜BCも、粘り強いディフェンスで試合の流れを変えて盛り返すが、三河のジェイク・レイマンのスピードに乗ったアタックを止められず19-24で第1クォーターを終える。

第2クォーターは互角の展開でハーフタイムを迎えた横浜BCだが、第3クォーターに入るとダバンテ・ガードナーを軸にした三河のペイントアタックを止めきれず、11点のビハインドを負ってしまう。しかし、ここで松崎裕樹のスティールからの速攻など、ハッスルプレーで流れを変えると、河村勇輝のドライブによる得点やアシストなどで54-59と5点差まで詰める。

第4クォーターは一進一退の攻防が続くが、横浜BCはこのクォーターだけで10得点を挙げたジェロード・ユトフの3ポイントシュートにより、残り2分半で4点をリードする。しかし、ここから三河の反撃を食らい、残り1分でイ・デソンに長距離砲を許して試合をひっくり返されてしまう。さらに残り12秒でフリースローを与えてしまったが、ここで三河の久保田義章が2本目を外すと、デビン・オリバーが素早くボールプッシュすることでズレを作り出し、コーナーで待っていた須藤が値千金の3ポイントシュートを成功。劇的な結末で締め括り連敗を止めた。

勝利の立役者である須藤は、守備がもたらした勝利と試合を振り返る。「三河さんのシュートタッチが良く、苦しい試合の入りになりましたが、そこからディフェンスのゲームに持っていくことができたのはよかったです。ベンチから出てくる選手がそれぞれエナジーを出して、自分たちの持ち味であるディフェンスの強度を高めていけたのは大きかったと思います」

そして、自身の決勝弾については、やられたらやり返すという強い気持ちがこもっていたと明かす。「直前、イ・デソン選手に自分がマークについた中で(勝ち越しシュートを)決められてしまったので、やり返さないといけない気持ちがありました。オリバー選手がうまくマークマンを引き付けてくれた中でパスをくれました。良いタイミングで良いシュートを打てたと思います」

同地区の好調な三河に勝利「この流れをしっかり繋げていけたら」

最後の3ポイントシュートだけでなく、この試合の須藤はドライブからのレイアップも確率良く決め、フィールドゴール8本中5本成功の13得点をマーク。「3ポイントシュートを警戒される分、ドライブが効果的になってきます。苦しい時間帯に決められたのは大きかったですし、そこで流れに乗れたことで最後、打ち切れたことに繋がったのはよかったです」

こう須藤本人も振り返るように、相手ディフェンスに対して、的確なシュートセレクションを行うことで得点を重ね、リズムをつかんだことが最後のビッグショットをもたらした。

前節、横浜BCはホームで島根スサノオマジックに86-98、73-94と共にチームの根幹であるディフェンスが崩壊して連敗を喫した。しかし、この試合は最後まで集中力を切らさずに74失点に抑えた。この堅守をもたらした要因の1つが、オフェンスの終わり方にある。この試合、絶対的エースの河村は、前半でのシュートアテンプトがわずか3本と、打てるタイミングでも自重する場面が目立った。そこには次の意図があったと河村は語る。

「第4クォーターの残り5分など、クラッチタイムになった時、自分が打ちに行かないといけない時間帯で少しのズレの中でも打ちに行くのは必要だと思います。ただ、今チームとして結果が出ていない状況で、それぞれ素晴らしいタレントを持った選手がリズムに乗れるようにしないといけないです」

「仮にシュートが入らなくても、それがチームとしてのシュートなら、その後で良いディフェンスが生まれていきます。良いオフェンスの終わり方ができれば、良いディフェンスに繋がっていくことを意識していました。そういう部分もあって今日は素晴らしいオフェンス力を持ったシーホース三河さん相手に74失点に抑えられたと思います」

今は黒星先行中だが、昨シーズンに続いてのチャンピオンシップ進出を全くあきらめていない横浜BCにとって、同じ中地区で2位につける三河相手に直接対決で勝利したことは大きな意味がある。須藤は、この一戦にチーム全員が強い覚悟で臨んでいたと明かす。「同地区ですごく意識しています。ここからCS争いに繋げていくためには必ず勝たなければいけない相手と全員が理解していた中で、この試合をモノにできたのは大きいです。この流れをしっかり繋げていけたらと思います」

同地区上位チーム相手の勝利に加え、ここまで苦しんでいた要因でもあるディフェンスの立て直しに光明が見えた面でも横浜BCにとってこの勝ちは大きな意味がある。そして、しっかり守って今日のような接戦を勝ち切っていくには、引き続き、須藤のここ一番でのビッグショットも必要となっていく。