アンファニー・サイモンズ

マーベリックスに2日続けて大敗も「切り離して」

トレイルブレイザーズはデイミアン・リラードを放出して再建へと舵を切った。1年目の苦戦は想定内ではあるが、プレーオフ進出を逃す悔しさをすでに何年か味わっているだけに、メディアもファンも負けを受け入れられず、チームもフラストレーションを溜めている。ここまで9勝25敗で、直近の2試合はいずれも敵地でのマーベリックス戦で、29点差、36点差と信じがたい大敗を喫した。

アウェー7連戦のど真ん中、大敗が続く中で自宅に帰ることもできず、チームのフラストレーションは限界に達していた。それでも若い選手たちは現地1月7日のネッツ戦で、その怒りを正しくパフォーマンスに反映させることに成功。第4クォーターまでほぼ常にビハインドの展開でも集中力を切らさず、オーバータイムの末に134-127で勝ち切った。

ヘッドコーチのチャウンシー・ビラップスは、大敗したマブスとの2試合について「選手たちに映像は見せなかった」と言う。「選手たちは悔しさを十分に感じていた。それであれば、ボロ負けの試合を見返す必要はない。気持ちを切り替えて自分たちがどんなチームかを見せ付けるだけだ。今日は今までになかったエネルギーを出せた。たとえ結果的に負けたとしても、今日のプレーや選手たちの姿勢には満足していたと思う」

アンファニー・サイモンズは38得点11アシストを記録。体調不良で年末年始の試合を欠場し、復帰してからマブス相手にひどいパフォーマンスを2試合続けた後、突如として本領を発揮した。まだ体調は良くないが、延長を含めて45分間を戦い続けた。「疲れたよ。まだコンディションは万全じゃないんだけど、激しい試合でそれを感じる暇さえなかった」とサイモンズは笑顔で語った。

シェンドン・シャープはベンチから40分間の出場で21得点を挙げた。「負けてばかりじゃ面白くないからね。ニューヨークで勝利できたのは気分が良いよ。この1勝で流れを変えていきたい」と彼は言う。シャープはベンチスタートに回っているが、「それがチームにプラスなら、僕には何の問題もない」と気にしていない。この日はスタメンのスクート・ヘンダーソンが10得点と調子が上がらず、第4クォーターと延長ではプレーしなかった。当面この3人はその日の調子次第で起用法を変えていくことになりそうだ。

サイモンズは言う。「僕たちは好不調の波の大きいシーズンを送っているけど、ダラスで最悪の試合をした時でさえ、僕たちはあらゆる意味で団結していた。今はそれが一番大切だと思う。そして今日は気持ちを新たにして試合に臨んだ。ダラスで何かが起きたか忘れたわけじゃないけど、いったん頭から切り離して、悪いイメージを持たずにプレーしたかったんだ」

これでトレイルブレイザーズは10勝目。ピストンズ、スパーズ、ウィザーズ、ホーネッツに続くリーグで下から5番目という成績で、プレーオフ進出を目標に据えるのは現実的ではないが、彼らは良くも悪くも『今日を生きている』チームだ。先のことは意識しすぎず、過去に引っ張られることもなく、目の前の試合ですべてを出し切ることに集中している。