竹内譲次

「ブレックスの勝者のメンタリティをあらためて感じました」

大阪エヴェッサがアウェーで宇都宮ブレックスと対戦。オフェンスが好調で前半は54-54の互角で終えたが、後半になって宇都宮の強力ディフェンスに屈し82-98で敗れた。

大阪のオフェンスが機能していた前半、目立っていた1人が竹内譲次だった。ともに先発を務めるビッグマンのアンジェロ・カロイアロ、ショーン・ロングがパスセンスに長けていることもあり、彼らのアシストを受けて3ポイントシュート、ゴール下にダイブしてのシュートを確率良く成功し、第1クォーターだけで8得点を挙げた。

竹内の得点は第1クォーターのその8得点のみだったが、24分22秒にわたってコートに立ち、出場時間の得失点差を示すプラスマイナスでは、チームトップの0だった。文字通り、竹内がプレーしている時間帯は互角だったのだ。

11月以降の大阪はカロイアロを筆頭に故障者が続いたことで大きく失速したが、ここに来てようやくフルメンバーで戦うことができている。竹内はチームの現状をこのように語る。「やっと全員が揃ったことで、再び自分たちに期待感が持てます。そういう意味で悪かった時期は脱することができたと思います。ただ、上位チームに勝つには突き詰められていないです。試合が続く中、課題はゲームの中で対処していかないといけません」

日立サンロッカーズに在籍していたJBL、NBL時代、そして大阪加入前のアルバルク東京在籍時など、竹内にとって宇都宮は長らく同地区でしのぎをけずるライバルだった。だからこそ、宇都宮でのアウェーゲームには、このような思いを抱いた。

「ブレックスの強さをあらためて感じました。ここぞという時の強さ、タイミングを逃さないところはさすがだなと。また、(アルバルク在籍で)東地区にいた時は、ブレックスアリーナでも何回も試合をしたので、懐かしさを感じました。それ以上に、ブレックスの勝者のメンタリティといったモノをあらためて感じました」

この試合は宇都宮の竹内公輔、そして竹内譲次がともに先発し20分以上プレーした。マッチアップする機会も多く、『竹内ツインズ対決』を久しぶりにじっくりと見られた試合となり、懐かしさを覚えたバスケットボールファンもいたはずだ。

共に大学時代から日本代表として10年以上に渡って活躍し、所属チームでも中心選手であり続けた2人だが、日本人ビッグマンにとって厳しいレギュレーションの変更や帰化選手の増加、外国籍選手のレベルアップなどもあり、近年はプレータイムが減少傾向にある。だが、今シーズンは2人ともに主力としてプレーしている。B1で安定したプレータイムを得ている日本人ビッグマンが皆無の中、今月29日には39歳となる2人が、ともに最前線で活躍しているのは賞賛しかない。

竹内譲次

旧知の佐々HC「2人のサイズで、彼らのバスケIQを超える選手はなかなかいない」

竹内は兄弟対決への思いをこう語る。「自分が言うのもちょっとアレかと思いますが、自分たち以上に往年のファンの方たちが(兄弟対決に)期待してくれているのは感じます。そして、やっぱり、まだまだやれるんだというところを見せたい気持ちはあります。それは公輔も同じだと思います」

竹内兄弟より年下の日本人ビッグマンたちも少なからず奮闘している。しかし、今シーズンにおいてはBリーグで竹内兄弟以上に結果を残している選手はいない。2人ともアラフォー世代となり、身体能力の衰えは否めないにも関わらずだ。宇都宮の佐々宜央ヘッドコーチは2人と同学年であり、譲次とは東海大で4年間、日立サンロッカーズでも4年間チームメートと旧知の仲だ。佐々はコーチとして、竹内兄弟がいまだにトップレベルで活躍できている理由をこう見ている。

「そもそもサイズのでかさがあります。206cm(公輔)、207cm(譲次)で登録されていますけど、いまだに2人とも210cmくらいあると思っています(笑)。また、2人のサイズで、彼らのバスケットボールIQを超える選手はなかなかいないです。コーチからしたら本当に使いやすい選手たちです。今のレギュレーションではスタッツで飛び抜けることはないかもしれないですが、コーチのやることをしっかりやってくれる。若い選手たちは2人から見習う部分が多いです。2人とも本当によくバスケットを見ていますし、好きですよね。また、(会見で入れ替わる時)譲次にお腹をつかまれてしまいましたが、あの歳であのサイズでコンディションを整えているのも並大抵のことではないです。リスペクトしかないです」

出番が限られる苦しい時間を経て、2人がB1で主力として健在ぶりを示していることに力をもらっているバスケットボールファンは多いだろう。竹内はどんな状況でも応援してくれるそんなファンのために、やるべきことは変わらないと強調する。

「今はお互いに長い時間プレーできていますが、1試合で2、3分のみだったり、1プレーの出番でも、期待してくれるファンの方たちがいらっしゃいます。お互いにどういう状況でも常にしっかり準備して、期待に応えたいと強く思います」

彼らの高いプロ意識にあらためて敬意を払いつつ、明日も再び竹内兄弟のマッチアップを楽しみたい。