徹底マークを受ける川村がファウルを誘ってチームに貢献
後半戦最初のホームゲームとなった横浜ビー・コルセアーズは、滋賀レイクスターズを横浜国際プールに迎えた。11勝21敗で中地区5位となかなか勝ち星が上がってこない横浜。対する滋賀は6勝26敗で西地区最下位という状況だが、クレイグ・ブラッキンズを獲得しチーム力向上の兆しを見せている。後半戦初勝利を目指す両チームの戦いは最後までもつれる大接戦となった。
序盤は互いにシュートが決まらず我慢の時間帯が続き、激しい守り合いの展開となった。横浜は1試合平均で約15得点を上げる川村卓也が長谷川智伸のしつこいフェイスガードに苦しみ、前半を1点に抑えられる。それに対し高島一貴も得意のディフェンスで滋賀のシューター、狩野祐介を無得点に封じ、互いに得点源を自由にさせなかった。
そんな中、横浜はジェフリー・パーマーがインサイドを攻め13得点、滋賀は並里成がミドルシュートなどで8得点を挙げ前半を引っ張る。
33-31と横浜がリードして迎えた後半、試合が動き出すきっかけになったのは滋賀のファウルトラブルだった。横浜は川村が激しいマークに徐々に対応。得点はできずとも老獪な動きでファウルを誘い、このクォーターだけで4つのファウルを獲得。そして、残り時間を4分以上を残し滋賀のチームファウルは5個を超えた。
両チームともオン・ザ・コート数が「1」のこのクォーター、横浜のファイ・パプ月瑠が高さの利でインサイドを支配。ミスマッチを攻め7得点と3つのファウルを奪った。また、ファウルトラブルでソフトにならざるを得ない滋賀のディフェンスに対し細谷将司がアグレッシブにアタックして月瑠と同じく7得点を挙げリードを広げた。
怒涛の反撃を見せた滋賀、勝利に執念を見せるも及ばず
51-39と横浜が2桁のリードを奪って迎えた最終クォーターだが、滋賀が怒涛の反撃に出る。狩野がオフ・ザ・ボールの動きから長い距離を走ってのキャッチ&シュートでようやく初得点を記録。これでオフェンスの歯車が噛み合い、次々と得点を重ねていった。
横浜はジェイソン・ウォッシュバーンがインサイドで奮闘するも、滋賀の勢いは止まらない。ブラッキンズが流れの中での1on1で4本のシュートと2本のフリースローをすべて成功させて10得点を挙げ、ジワジワと迫る。
だが、滋賀に傾きかけた流れを引き戻すビッグプレーを見せたのが湊谷安玲久司朱だった。ショットクロックギリギリでミドルシュートを沈め、不十分な体勢からボールを拾いタフショットを決めるなど要所で決定的な仕事をやってのけた。
湊谷の活躍もあり残り1分52秒で73-63と勝敗が決したかに見えたが、滋賀はここから脅威の粘りを見せた。ジュリアン・マブンガのバスケット・カウント、ブラッキンズのインサイドで連続得点を奪い終盤のゲームコントロールに難のある横浜に襲いかかる。
横浜は受けに回ってしまい、積極性を欠いて得点が止まる。マブンガに速攻を許し残り時間3秒で2点差まで迫られる。タイムアウトを挟み、横浜のスローインから再開の場面。ボールをキープすれば勝利という場面でブラッキンズにボールを弾かれ、菅原洋介にボールを奪われてしまう。それでもハーフライン付近から菅原が放ったシュートはリングに弾かれ、横浜が辛うじて逃げ切った。
川村依存からの脱却、全員バスケで勝利をつかんだ横浜
青木勇人ヘッドコーチは「スマートな判断」と第3クォーターで突き放せた部分を振り返った。「ミスマッチの部分、ファウルトラブルの部分でそこをよくアタックしてくれた。ボールを集めた時に得点やファウルに繋がったことは選手のスマートな判断だったと思います」
また「厳しい試合の中で出た選手が全員得点を挙げ、ディフェンスでは存在感を出してくれたというところでチームとしてステップアップできた試合になったと思います」と接戦を制したことで選手の成長が促されたとコメント。
敗れた遠山向人ヘッドコーチは、インサイドのチームディフェンスを敗因に挙げた。「ウォッシュバーンやパプ選手に押し込まれたというところが大変だった。マッチアップした選手はベストを尽くしてくれましたが、チームディフェンスとしての意思疎通がうまくいかなかったと反省しています」
遠山コーチが名前を挙げたウォッシュバーンは18得点10リバウンドのダブル・ダブルで本日のMVPに選ばれた。そのウォッシュバーンはヒーローインタビューで「本当のMVPは君だ」と湊谷にマイクを渡し会場を盛り上げた。実際、終盤を支えた湊谷のプレーは貴重なものだった。
青木コーチが「的が絞りずらいチームになってきたと実感しています」と言うように、川村を抑えられても4人が2桁得点を記録し出場した選手全員が得点を挙げて勝利した横浜。川村依存から脱却し全員バスケで後半戦の台風の目となる予感、今後の追い上げに期待が持てそうだ。