福大大濠戦は5ファウル退場「ガードとしてコントロールできず反省しています」
ウインターカップ初出場ながら1回戦で強豪・帝京長岡を92-47とブローアウトし、2回戦は八戸学院光星との大接戦を73-65で制した。京都精華学園男子は女子に続けと言わんばかりに意気揚々と3回戦に進んだが、福岡大学附属大濠に62-91で敗れ、挑戦を終えた。
前半は互角だった。しかし後半、福大大濠が仕掛けたゾーンディフェンスにつかまり、得点を離された。司令塔を務めた東郷然(とうごう・ぜん)は「ゾーンに対してガードである僕がしっかりコントロールできなかったことを反省しています」と話した。
福大大濠が強烈なゾーンディフェンスを持っていることは知っていた。しっかり準備もしてきた。しかしそれは東郷の想像を超えるモノだった。「想像していたよりもみんな大きくて、ボールが手に引っかかったりしてミスが出てしまいました。対策も分かっていたけど、そこをしっかりやり切れなかったのがガードとしての僕のミスです」
東郷のこの試合の個人スタッツは、27分の出場時間で4得点4リバウンド6アシスト。前日の八戸学院光星戦で17得点12リバウンド4アシストというビッグスタッツを挙げているだけに、多少の物足りなさがあった。
加えて東郷はこの試合は序盤からファウルトラブルに陥り、5ファウルで退場している。「ジャッジにフラストレーションが溜まっていたし、そういう意味でもゲームをコントロールできなかったです」と悔いた。
マジック・ジョンソンの「32」を大会前に「23」に変更した理由
東郷は187cmの上背でポイントガードとしてプレーする2年生。京都精華学園中時代はチーム事情でウイングでプレーしていたが、高校からは自ら志願して、ミニバス時代から本職としてたポイントガードに戻った。
理由を尋ねると、東郷は目指す先にあるのが日本代表だからだと説明した。「僕はあまり身体能力が高くないし、世界で見ると187cmは全然小さい。これから上のレベルで生き残っていくためにはポイントガードをやるしかないと思いました。中学時代にウイングとして点を取る能力を身につけられたので、高校では点の取れるポイントガードを目指しています」
理想像は、アシストをしながら自らも得点を取れるガード。参考にする選手を尋ねると「ちょっと古いんですけど…」と、往年のNBAスターのマジック・ジョンソンを挙げた。「マジックみたいに魅せるパス、観客が楽しめるようなパスを出したいと思っていて。ウインターカップまではユニフォームのナンバーも(マジックがつけていた)32番だったんです」
現在まとっている23番は、こちらもNBAのレジェンドであるマイケル・ジョーダンにあやかって。「中学の時はジョーダンが好きだったので心機一転というか、(得点を取る意識が強かった)あの頃の初心に戻ろうと思って」と笑った。
同じ京都府内の同学年には、世代最強ポイントガードの瀬川琉久(東山)がいる。記者にそのことを尋ねられると「存在は大きいですけど、そこ(瀬川に勝つこと)が目標ではないし、今が終着地でもないです」と即答。大会前に行ったバスケット・カウントのインタビューでは「ライバルはいつも自分自身」と話していた。
「現代バスケでは点を取れるガードが重宝されているので、点も取れてアシストで周りを生かすこともできるガードを一番の目標にしています。スピードやフィジカルを鍛えて速い攻防に対応できるようになって、3ポイントももっと確率を上げて、周りを生かせるようなプレーをしていきたいです」
初めてのウインターカップで得たたくさんの経験により、目指すものの解像度はぐんと高まっただろう。東郷が新たに踏み出す一歩と、そこからの道のりがどのようなものになるか楽しみだ。