「大会中にどんどん成長していきたいです」
福岡大学附属大濠は、ウインターカップ初戦で福島東稜を相手に予想外の苦戦を強いられた。前半を終えて31-30とリードはわずか1点。前半はフィールドゴール47本中12本成功(25.5%)とシュートが思うように決まらず、ディフェンスで粘り、リバウンドで上回ることで何とかリードを保った。
福島東陵の留学生、身長203cmのアデバヨ・オニロルワジョセフとマッチアップしたのは206cmのサイズを誇る渡邉伶音だ。渡邉もシュートタッチは必ずしも良くなかったが、ディフェンスとリバウンドの奮闘により、留学生のところで相手に優位を作らせない。福岡大学附属大濠はバスケIQとバランスの良さが売りのチームではあるが、タフでなければ戦えないインサイドの攻防で、渡邉は相手に引けを取らなかった。
「大濠は日本人しかいないチームで、インサイドは絶対に自分が守らなければいけないという気持ちがありました」と彼は言う。「相手の留学生に最初は強い気持ちで行けなくて。去年は3回戦でケガをしてあまり出ておらず、初めての全国大会みたいなものという緊張感があって、なかなか最初は上手くいかなかったです」
初めての全国大会みたいなもの──。彼らにとってこの言葉は、夏のインターハイに出場できなかった悔しさも意味している。「インターハイに出れなくて、みんなウインターカップに向かって頑張っていたので、その分だけ初戦ですごく緊張してしまいました」
それでも、勝負度胸はあるタイプ。会場の雰囲気に慣れ、激しいプレーを続けているうちに緊張はほぐれ、自分らしさを出せるようになった。「シュートが入る入らないには関係なく、仕事はそれなりにできたと思います。次の試合からは、今日の第4クォーター終盤のような動きが最初からできるように、またマインドセットを変えて頑張りたい」
渡邉はまだ2年生だが、それでもU18トップリーグで強豪相手の試合を経験してきた。このウインターカップでも試合を重ねるごとにステップアップして、チームの勝利に大きく貢献したいと考えている。「トップリーグでも外のドライブや3ポイントシュートでは自分でも成長を感じています。あとは自分のプレーに相手が反応した時に次のプレーを判断して出すことを、トップリーグでやったようにやり続ける。バランスを考えた上で3点を取れる選手に、大会中にどんどん成長していきたいです」
渡邉は35分のプレーで16得点15リバウンドを記録。「緊張していた」と言うが、そう感じさせたのは立ち上がりだけで、その後はむしろ経験豊富な選手のように、激しく戦いつつも冷静さを保っていた。今が伸び盛りの彼は、その言葉通りに大会中に成長していくに違いない。