キーオン・エリス

2年目の2ウェイプレーヤーが、フォックスに次ぐ2番手に

キーオン・エリスは夢の世界を生きている。2022年のドラフトで指名を得られなかった彼はキングスと2ウェイ契約を結んでNBAの世界に足を踏み入れた。昨シーズンはチームが48勝34敗と好調で、若い彼に出番はほとんどなく、出場わずか16試合で合計プレータイムは71分のみ。得意の3ポイントシュートは成功率50%を記録したが、サンプル数が少なすぎて評価されなかった。

結局、シーズンの大半をGリーグで過ごした彼は、今オフに残留を決める。立場は同じ2ウェイ契約だが、シーズン序盤から出場機会が与えられた。開幕のジャズ戦で1分だけプレーして、続く3試合は出場なし。それでもベンチの端に彼の据わる場所はあり、Gリーグに送られることはなかった。開幕5試合目には1分出場。そして次のロケッツ戦、彼は14分の出場で3ポイントシュート4本成功を含む15得点を挙げた。

もともと、エリスの練習に取り組む姿勢はチームのベテランたちから評価されていた。エースのディアロン・フォックスが「シュートドリルではチームで一番かもしれない」と言うほど。しかし、練習場で上手いだけではリスペクトは勝ち取れない。試合のコート上で結果を出せば、周囲の目も変わるし、何より自分自身が変わる。

11月はコンスタントに出場機会があったわけではないが、彼はコートに入れば毎回、自分のベストを出してきた。そして12月に入るとローテーションに食い込み、プレータイムが10分、15分と伸びていく。「試合でシュートが決まると本当に良い感触が得られる。どれだけ熱心に練習に打ち込んだところで、試合に臨む自信には繋がらない。自分が本当に良いシューターだという感覚は、試合でボールがリングに吸い込まれる時にしか感じられないんだ」とエリスは言う。

そして、キャリアを切り開く試合がやって来た。現地12月14日のサンダー戦、エリスはベンチから出て7本中5本の3ポイントシュートを決めて17得点を挙げ、6リバウンド3アシストも記録。それだけではなくフットワークを生かしてしつこく食らい付くディフェンスで、オールNBAのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーをマークし、チームの128-123の勝利に貢献した。彼にとってシュートを決める以上に自信になったのは、接戦の展開でクロージングラインナップを任されたことだ。

「僕は常にハードに戦う。自分の持っているものすべてを出しきり、自分のいるべきポジションを取って、正しいプレーを心掛ける。それができる選手だと証明したいんだ」

フォックスに続く2番手のポイントガードとなった今も、彼は自分がNBAで生き残る術を見誤ってはいない。「僕は1試合で40得点するタイプじゃない。クロスオーバーで相手を八つ裂きにしたりもしない。僕にはフォックスみたいなドライブはできないから、自分がどうプレーすべきか理解するのが大事。正しくプレーを読み、スクリーンとかあらゆる手段を使ってチームメートを良いポジションに置いてイージーなシュートが打てるように、あるいは僕が自分でキャッチ&シュートができるように。そうやってチームに貢献したいんだ」

この調子を続けていけば、いずれ2ウェイ契約から本契約へと切り替わる。「正直、NBAで今のこの立場をつかめるとは想像していなかった。でも今は2年目で、遠征と試合のリズムにも慣れてきた。僕はもっと成長したいし、コートの中でも外でももっともっと学びたい。試合のたびに自分のベストを出し切りながら、小さなことを確実に学んでいきたい。ここで新しいことを経験し、学べることは本当に素晴らしいこと。今はすべてが楽しみなんだ」