広瀬孝一&渡邉伶音

連覇を目指して挑んだ昨年のウインターカップはベスト8に終わった。川島悠翔が抜けたチームでエースを担うのは2年生の渡邉伶音。今年の先発で唯一の最上級生である広瀬孝一は、自らに課した厳しい課題をクリアして成長を続けている。強力な留学生を擁するチームに対抗する上で福岡大学附属大濠の大きな武器となる広瀬&渡邉のビッグマンコンビに、ウインターカップへの抱負を語ってもらった。

「最後の最後は本当に気持ちの強いチームが勝つ」

──まずは自己紹介をお願いします。

広瀬 3年生の広瀬孝一です。埼玉県の新座第三中学校の出身で、2019年のウインターカップ決勝でチームの魅力に惹かれて、大濠に行きたいと思うようになりました。

渡邉 2年生の渡邉伶音です。去年はU16とU17の日本代表に入って、今年はU19ワールドカップに出場しました。昔から井上宗一郎選手、木林優選手、副島成翔選手、川島悠翔さんと中でも外でもアクティブに動けるビッグマンで、自分が目指すようなスタイルの選手が大濠にいたので、自分もこの高いレベルでバスケをやりたいと思って大濠に来ました。

──渡邉選手から見た広瀬選手の良いところを教えてください。

渡邉 常に先頭を走って、リバウンドも常に絡むし、チームにとって一番大事な仕事をどの時間帯でも常にやり続けてくれるので頼りになります。特にウインターカップ予選では最初から最後までずっと仕事をし続けていて、本当にすごいと思いましたし、尊敬する選手です。

──広瀬選手から見て、渡邉選手の良いところはいかがでしょうか。

広瀬 今まだ2年生ですけど、チームを勝たせる意識が強くなっているのをすごく感じます。去年からの成長がすごくて、運動量が増えて外のプレーも上手くなっています。伶音が留学生を抑えてくれるという安心感があって、それで自分が他のチームの4番ポジションのところを攻めることができるので心強いです。伶音は練習で毎日自分の力を出し切るから、終わってから帰るのが誰より早いんです。そこもすごいところです。

──これまで大濠のバスケ部で大変だったことは?

渡邉 去年のU18トップリーグから今年の新人戦にかけてスタッツが伸び悩びました。去年もスタメンで出してもらっていたのに、新チームになってなかなか貢献できずに苦しかったです。そこでいろんな人に相談しながら、練習から意識を変えるようにして、少しずつスタッツが出るようになりました。今年のU18トップリーグではベストファイブ賞を受賞して、自信になりました。

広瀬 僕はバスケよりも学校生活のことで怒られることが多かったです。片峯聡太先生が3年間担任だったんですけど、学校で怒られて、それがバスケにも影響して怒られて、そのループがキツかった(笑)。

──片峯コーチ、実際のところ広瀬選手はちょっと問題児だったんですか?(笑)

片峯 1年目に担任をやった時点で、2年目も私が担任をするしかないと思いました(笑)。それでも広瀬はちゃんと自分の気持ちを持ち、それに素直な子で、嘘をついたり卑屈になったり、人の道を外れるような裏切りは一度もありません。そういう意味では信用しているから、夏休み明けからスタメンにしています。「4番ポジションのサイズを上げることが、ウチが日本一に近付くには一番大事」と本人とのミーティングで話しました。下級生にも将来性のある選手がいますが、まだいろいろ追い付いていない部分もあるから3年生であるお前が頑張らなきゃいけないよ、と。「厳しくやるけど信じて頑張れるか」と聞いたら、しっかり1日考えて「頑張ります」と返事をしてくれました。本当はその場で答えが欲しかったんですけどね(笑)。

渡邉伶音

「大濠のビッグマンとして、自分たちが絶対にやる」

──今年の大濠にとってはウインターカップ予選の決勝で福岡第一に勝ったことが非常に大きかったと思います。

広瀬 3年生が何回も話し合いながら「福岡第一に勝つ」という共通認識を作り、死にものぐるいで練習に励んでいました。試合でも気持ちの部分でしっかり戦えたし、後半は足がつりかけたりしてたんですけど、先生やチームメートからも、「行ける」、「まだやれるぞ」と声を掛けてもらって、気持ちで最後まで戦うことができました。

渡邉 広瀬さんとの2ビッグは新チームになってすぐに始めたんですけど、最初はお互いのやりたいことが合わなくて、2ビッグを止めた時期もあるんです。でも、また2ビッグをやることになった時には2人とも「大濠のビッグマンとして、自分たちが絶対にやるんだ」という気持ちができていて、それが福岡第一戦で良い結果に繋がったと思っています。

──もうウインターカップを迎えますが、チームとして最後にどの部分を仕上げて大会に臨みたいですか。

広瀬 もう個々のスキルは大幅には上がらないと思うので、5試合戦い抜くための脚力をもっともっと追い込んでやっていきたいです。目指すのは優勝ですが、まずは初戦から一つひとつ大事に戦いたいです。自分たちは初戦でも相手は2回戦なので、そこの勢いに負けないように練習から熱量を持って取り組むことが大前提だと思っています。

渡邉 U18トップリーグでも経験したのですが、負けた試合はすべて後半で相手に流れを持っていかれています。ウインターカップは5試合あって、疲労との戦いにもなると思うんですけど、孝一さんが言ったように脚力の部分は最後に仕上げたいです。あとは最後の最後は本当に気持ちの強いチームが勝つので、タフに戦い続けることですね。留学生との対戦が多くなると思いますが、僕らインサイドはリバウンドとルーズボールが大事で、そこがブレなければ絶対負けないという意識で、気持ちで絶対負けずに頑張るつもりです。

広瀬孝一

「これまで努力してきたことすべてを出し続けたい」

──負けたくないチーム、意識する選手はいますか?

広瀬 優勝候補と言われている日本航空ですね。インターハイで優勝しているし、すごい留学生がいるので、そこに勝って勢いを付けたいです。僕ら2人で留学生のオルワペルミ・ジェラマイアをどう抑えるかは楽しみなところです。あとは開志国際ですね。U19トップリーグで負けていますし、チームカラーが似ている印象があるので負けたくないです。

渡邉 目標はもちろん日本一なんですけど、去年のベスト8を超えるという意味で、まずはしっかりベスト4まで勝ち上がりたいです。ベスト4まで行けば日本航空との対戦になると思っています。すごく能力のある留学生だというのは分かっているので、インサイドの2人がこれまで努力してきたことすべてを出し続けたいです。自分たちの方が確実に努力していると思うので、勝ちたいです。

広瀬 個人的には、東山の佐藤友選手には負けたくないです。同じ4番ポジションだし、同世代の中でも一番注目されていて、チームを支える選手だと思うので、そこで自分の方が上だというのを見せたいです。

渡邉 僕は開志国際のネプフィ・ケルビン・シェミリー選手を意識しています。ドライブもできて3ポイントシュートも打てる2年生の留学生で、U18トップリーグでの対戦ではやられてしまっているので、決勝で当たってリベンジしたいです。

──最後に、大濠を応援するファンの皆さんにメッセージをお願いします。

広瀬 ウインターカップでは初戦から決勝までの5試合、40分でも何分でも走り抜こうと思っています。そこに注目してください。

渡邉 5試合しっかり仕事をし続けて、勝ち続けられるように頑張ってプレーします。僕らインサイドの2人の頑張りを見てください。応援よろしくお願いします。