デイミアン・リラード

「僕は気にしない。ああいう時こそ謙虚でいなければ」

バックスはインシーズン・トーナメントのファイナル4に進出し、ラスベガスに乗り込んだが、ペイサーズに敗れた。デイミアン・リラードは初開催となるインシーズン・トーナメントについて「大会が始まった時には軽視していたチームもあっただろうけど、そのチームも今では『もっと真剣にやっておけば良かった』と考えているはずだ」と語っている。NBAのシーズンはプレーオフというクライマックスに向けて次第に盛り上がるもので、この時期の熱はそれほどでもない。それが今シーズンはインシーズン・トーナメントが大きな注目を集め、興行的にもプラスになっている。

リラードは言う。「勝利がすべてのオール・オア・ナッシングの状況だけど、負けたからと言ってシーズンが終わるわけじゃないから、そこはプレーオフとは重みが違う。でも、新たな興奮があり、誰もが求めているような最後の瞬間に向けてモチベーションがかき立てられる。ラスベガスへの旅はレッドカーペットの上を歩くようなもの。特別なものだ、という雰囲気が感じられたのはすごく良かった」

選手にとっても、モチベーションを刺激するものは多ければ多いほうがいい。リラードの言葉の意味もそこにあるのだろうが、一番盛り上がるファイナルを前に大会を去ることになった。

リラードにとって不本意なことはもう一つある。ペイサーズ戦の終盤で勝利を決定付ける3ポイントシュートを決めたタイリース・ハリバートンが、その直後に時計を着けていると見立てた腕をアピールしたのだ。指をさすことまではしなかったものの、リラードのセレブレーションである『デイム・タイム』を真似たのは間違いない。

試合後の会見でハリバートンによる『デイム・タイム』へのコメントを求められたリラードは表情を変えることなく「自分がやったことを他の人がやったからといって怒るわけにはいかない」と語った。

「子供の頃からそう学んできたんだ。あれは僕の歴史を知り、理解していることへのリスペクトの証であるとも受け止めている。だから僕は気にしない。それでいいんだ。ああいう時こそ謙虚でなければいけない」

リラードは事を荒立てようとしなかったが、ハリバートンの行為が彼のプライドを刺激したのは間違いない。この事件もこの先に続くシーズンを盛り上げるに違いない。