ルカ・ドンチッチ

24点差を一気にひっくり返すも、終盤に力尽きる

マーベリックスは現地12月1日のグリズリーズ戦にルカ・ドンチッチ抜きで臨み、94-108とオフェンスが振るわず敗れた。その翌日のサンダー戦、ドンチッチは復帰したものの2日連続の試合とあってチームに本来の勢いはなく、第3クォーター終了時点で84-107と大差を付けられていた。第4クォーター最初の1分で点差は24点へと広がった。

ところがマブスはここから30-0という怒涛のランを展開する。シェイ・ギルジャス・アレクサンダーにボールを持たせないことで試合から締め出し、ここに人数を掛けるため他が手薄になる分は素早いローテーションでカバー。シェイ以外のサンダーの選手たちは、セーフティリードがあるにもかかわらずミスが数個続くと慌ててしまい、以後はミスがミスを呼ぶ悪循環に陥った。ドンチッチが自由自在にチャンスを作りだし、デレック・ライブリー二世がペイントエリアを制圧して、AJ・ローソンとセス・カリーが3ポイントシュートを射抜き、約7分間で117-111とマブスが逆転に成功した。記録の残る限り、NBAでのこれまでの最高のランは2009-10シーズンにキャバリアーズがバックス相手に決めた29-0のラン。マブスはこれを塗り替えた。

しかし、勝ったのはサンダーだった。若いチームは慌てると未熟さを露呈したが、立ち直ると爆発力を取り戻した。逆にマブスは試合をひっくり返すのにエネルギーを使いすぎ、カイリー・アービング、ジョシュ・グリーンとティム・ハーダウェイJr.が欠場する状況で、2日連続の試合の最後まで力が残っていなかった。流れが変わったのは残り1分27秒。ブリッツを仕掛けられたドンチッチのトラベリングからだ。

残り1分12秒に味方のシュートを押し込むホルムグレンのダンクでサンダーが追い付くと、残り40秒でジェイレン・ウィリアムズがライブリー二世のブロックショットをかいくぐって逆転のレイアップを沈める。タイムアウトを取ったマブスがサイドラインから入れるボールを狙ったシェイがスティールに成功してワンマン速攻に持ち込み、勝利を決定付けた。

サンダーの指揮官マーク・ダグノートは苦笑混じりにこう語る。「奇妙な勝ち方だった。オフェンスでもディフェンスでも思い通りにいかないことが多かった。0-30のランを食らって勝つのは普通ではあり得ない。ということは、多くのことが上手くいったんだろうね」

敗れたマブスも、最後まで全力を出し切って戦ったことへの満足感があった。ヘッドコーチのジェイソン・キッドは「チームの個性が出た試合だった」と語る。そして、前日の試合を娘の誕生に立ち会うために欠場したドンチッチは「昨日は人生で最も幸せな日だった」と語り、「今日の試合もすごいジェットコースターに乗っているみたいで面白かったよ」と続けた。

主力の多くを欠く状況で、ドンチッチのプレータイムは今シーズン最長となる46分まで伸びた。父親になって初めての試合で彼は、36得点15リバウンド18アシスト2ブロック2スティールを記録。「最後の数分はもう疲れ果てていたけど、僕からコーチに『大丈夫、プレーする』と言ったんだ。無茶苦茶な試合展開で、すごく厳しい状況に追い込まれたけど、あと一歩で勝つところまで持っていけた。勝てなかったのは悔しいけど、努力する姿勢は素晴らしかったと思う」