クリス・ポール

「いずれGAME7で彼を見ることになるだろうね」

現地11月22日、サンズはウォリアーズ相手のホームゲームに123-115の快勝を収めた。クリス・ポールがウォリアーズに移籍してから初めてフェニックスに戻って来る試合とあって、サンズをドアマットチームから優勝候補へと引き上げたポールの活躍を称える映像がコートに映し出されると、ファンは拍手でその多大なる貢献を称えた。

そんな美しい光景から始まった試合は、後味の悪い結末となった。サンズはケビン・デュラントが32得点、デビン・ブッカーが25得点を挙げて勝利したのは良いが、第3クォーター終了時点で16点のリードがあったにもかかわらず、残り19秒で3点差まで詰め寄られた。薄氷を踏む勝利をデュラントはこう反省する。「もっと上手くやれた試合だった。しっかりディフェンスして、攻めではターンオーバーをしない。たったそれだけのことなんだ。第4クォーターで10点、15点のリードがあったら、そこから相手に期待を持たせるような試合運びをしちゃダメだ」

ウォリアーズは第4クォーター前半、ステフィン・カリーとクレイ・トンプソンがベンチにいたにもかかわらず猛烈な追い上げができた点はプラスだったが、審判に対するフラストレーションばかりが記憶に残る試合だった。第2クォーター終盤、デュラントとの1対1でドライブを止めようとしたクリス・ポールがファウルを取られる。デュラントが1本目のフリースローを決め、2本目を準備する間、ポールはずっとレフェリーに話しかけていた。最初はファウルの基準を確認するやり取りだったが、言葉を重ねるうちに表情が険しくなり、執拗な抗議が反スポーツマンシップだとしてテクニカルファウルを受けると、ポールは怒りに我を忘れた。そして2度目のテクニカルで退場。ステフィン・カリーが抑えなければ止まらないぐらいの剣幕だった。この時、抗議したスティーブ・カーもテクニカルファウルを取られている。

この試合でウォリアーズは52本ものフリースローをサンズに与え、44点をそこから失っている。「ファウル、ファウル、ファウル。フリースローの後は相手のセットディフェンスを攻めなければいけない。そんな展開が続いて勝てるはずがない」とカーは言う。ポールの退場については「1回目のテクニカルファウルはともかく2回目は不要だった。抗議されれば誰もがイラッとするだろうが、そこでどう対応するかは審判次第だ」と語った。

この試合を担当した審判はスコット・フォスター。以前から「フォスターが担当する試合ではポールは勝てない」と言われる因縁の相手で、実際に2008年以降、プレーオフの試合でスコット・フォスターが笛を吹くとポールは2勝17敗と相性が最悪だ。不愉快な試合を終えたクリス・ポールは「これは個人的なことなんだ」と語る。「審判が話すのは構わないが、自分の言い分を伝えるためにテクニカルを使うのは間違っている」

クリス・ポールにとってスコット・フォスターは厄介な『敵』となっている。ここまで因縁が深まっては、その関係性はすでに選手と審判ではなく『勝つために乗り越えなければいけない相手』だ。ポールは言った。「いずれGAME7で彼を見ることになるだろうね」