6勝8敗で中断期間に突入「もっと勝てた」
佐賀バルーナーズは千葉ジェッツとの第8節を1勝1敗で終えた。初戦は前半で30点差をつける快勝を収めたが、続く第2戦は第3クォーターまでわずかにリードするも、終盤にオフェンスが停滞しそこから失点を重ねて競り負けた。
第2戦で12得点6リバウンド3アシストを挙げた角田太輝は出だしのパフォーマンスを悔いた。「第1クォーターで25点取られたところがすべてと思っています。そこで10点くらいの差をつけられたことが最後の最後に響いたかなと」
前述の通り、佐賀はその後盛り返して最終クォーターをリードして迎えたが、序盤のビハインドを覆すため、終盤までエネルギーを残すことができなかったという見方だ。宮永雄太ヘッドコーチも「最後は体力切れでちょっとついていけませんでした」と同様の見解を示している。
11月は2勝3敗だったが、その3敗のすべてで第1クォーターに10点前後のビハインドを背負った。だからこそ、角田は出だしのディフェンスの大切さを語る。「広島ドラゴンフライズとの第一戦も、第1クォーターで大量失点をして、最終的にその差で終わりました。今日もそうですし、そういうことが多いです。本当に我慢する力は持っているんですけど、その出だしの部分は課題だなと思っています」
立ち上がりの守備に課題を残していはいるが、佐賀はここまで6勝8敗といわゆる『B1の壁』を乗り越えている。実際に宮永ヘッドコーチも「もっと勝てたなと思います」と言い、初のB1での戦いに自信を深めているようだ。「何勝何敗というのはそこまで意識していません。B1に昇格して、我々がB1にふさわしいチームだということを皆さんに知ってもらうというチャレンジをしています。琉球(ゴールデンキングス)さんと紙一重のゲームをして、広島(ドラゴンフライズ)さんと島根(スサノオマジック)さん、今日も千葉Jさんと試合をさせていただいて、自分たち次第で勝てるなというのは感じることができました。あとはチームとしても個人としてもステップアップして、それを結果で証明できるようにしたいと思います」
指揮官が断言「ウチは角田のチーム」
敗れた8試合のうち、実に3試合が1点差での敗戦。だからこそ、指揮官が「もっと勝てた」と言うのも頷ける。当面はクロスゲームを勝ち切ることが目標となるが、それにはエースのステップアップが欠かせない。
角田は大黒柱のジョシュ・ハレルソンに次ぐ、平均30.22分のプレータイムを与えられている。現在、プレータイムが平均30分を超えているB1の選手は18人しかおらず、日本人選手では安藤誓哉、富樫勇樹、ベンドラメ礼生しかいない。宮永ヘッドコーチは角田に多くのプレータイムを与えている理由をこのように語る。「太輝には、今シーズンかなりのプレータイムを与えて様々な経験をしてもらっています。今日も良い部分も悪い部分もいっぱいありましたが、この経験値が将来的に彼が花咲く瞬間に必要だと思っています。彼を信じているからずっと使い続けていますし、ステップアップしてほしいと思っています」
そして、「ウチは角田のチーム」と続けた。「初めてのB1で彼が富樫選手や河村(勇輝)選手、岸本(隆一)選手といった素晴らしいガードにマッチアップして学んでいく。何が良かったのか、悪かったのか感じ取ってもらうことが今後のバルーナーズにとって重要になってくると思っています」
指揮官の思惑通り、角田は強敵との対戦を経て一歩ずつ成長している。今節の千葉J戦では富樫とマッチアップし、「勉強になる部分がすごく多かった」と前置きしつつも「全体的に言えば、ついていける部分は多かったので、そこは自信になっています」と言う。
3ポイントシュート成功率は25.6%と苦戦している角田だが、平均8.4得点、2.9リバウンド、3.7アシストと、戦いの舞台が上がったにも関わらず昨シーズンと遜色ない数字を残している。それでも彼は「全体的に見ても、50点に満たないぐらいの点数」と厳しめの自己評価を下した。ただ、それは自身の伸びしろが青天井であることを意味している。
「岸本選手だったり、今日の富樫選手など、本当に学べることが多いです。3ポイントシュートをもっと決めていけば、よりプレーの幅も広がっていき、チーム的にも個人的にも得点やアシストは増加すると思います。約4分の1が終わった時点で、自分のポイントガードとしての形というのは見えてきました。この中断期間でしっかりと考えて、次に繋げていきたいなと思っています」
指揮官に絶大な信頼を寄せられ、角田は試合の中で試行錯誤を繰り返し成長を続けてきた。彼のレベルアップはチーム力の底上げに繋がる。バルーナーズの成功の鍵は当然ながらチームの顔が握っている。