「自分のやってきたことを信じて、競争を楽しむ」
レイカーズを相手にロケッツは素晴らしいパフォーマンスを見せた。ディロン・ブルックスは『宿敵』と見なすレブロン・ジェームズに牙を剥くとともに24得点を挙げ、フレッド・バンブリートは見事なプレーメークから16アシストを記録。NBA3年目で大成しつつあるアルペラン・シェングンはアンソニー・デイビス相手に高確率で得点を奪い、23得点10リバウンド5アシストとオールラウンダーぶりを発揮し、クラッチタイムの勝負強さも見せた。
それでも、クラッチタイムの勝負強さではレブロンが格の違いを見せ付けた。デイビスがファウルトラブルの末に終盤に退場する苦境にあって、ロケッツの若い勢いに抗い、押し止め、ねじ伏せた。40分の出場でフィールドゴール19本中14本成功の37得点。試合終盤のレブロンのアイソレーションは誰にも止められなかった。
闘争心を剥き出しにして激しくぶつかってくるブルックスとの因縁は昨シーズンから続くもの。レブロンのリズムを狂わせ、勝つチャンスを少しでも高めるため、ありとあらゆる手を使ってくるブルックスを「彼は素晴らしい対戦相手。彼との戦いは好きだ」とレブロンは言う。「彼らのような若い選手たちが僕を奮い立たせてくれる。僕にはそれが必要なんだ。NBAでの競争がどういうものかは理解し、競い合うのが大好きだからね」
レブロンについて八村塁は「昨シーズンに2人がやり合っていたのは知っている。彼にとっては良いことなんだ」と言い、オースティン・リーブスも「いつもエネルギー全開だ。NBAで最年長なのに、20歳みたいに毎日プレーして、ジョークを飛ばして日々を楽しんでいる」と語る。ヘッドコーチのダービン・ハムも「まさに圧倒的だ。これがこの21年間、みんなが愛してきた彼なんだよ」とレブロンへの称賛を惜しまなかった。
この日は息子のブロニー・ジェームズがコートサイドで観戦していた。レブロンが良いプレーをすればブロニーが飛び上がって喜ぶ。その姿もまたモチベーションになった。「何が自分のモチベーションになっているのかよく分からないけど、常に限界に挑み、自分がどこまで行けるか試そうとしている。今日は『ブロニーがいるんだからもっと頑張らなきゃ』と思ったよ」
11月に入ってからの9試合でフィールドゴール成功率59.3%で27.3得点とレブロンは絶好調だ。それでも本人は「良いリズムには乗っているけど、ちょっとケガを抱えていて体調も優れない」と明かす。「でも、自分のやってきたことを信じて、競争を楽しむようにしている。それが僕自身を引き上げてくれているんだ」