ザック・ラビーン

ラビーン「NBAのビジネスは理解している」

ブルズは今オフ、ニコラ・ブーチェビッチとコービー・ホワイト、アヨ・ドスンムを残留させ、ケガを抱えるロンゾ・ボールの穴埋めとしてジェボン・カーターを獲得する『継続路線』を選択した。開幕から3週間が経過して4勝7敗。他のチームであればまだ何らかの決断を下すには早すぎるが、ずっと決断を先送りにしてきたブルズは、そろそろ「このチームでは結果が出ない」と悟ってもいいはずだ。

ザック・ラビーンとデマー・デローザン、ブーチェビッチの『ビッグ3』は結成から3年目を迎えたが、いまだに噛み合わない。3人揃ってコートに立っている時の得失点差はマイナスを記録。若手の中で最も期待されるパトリック・ウィリアムズは不調続きでスタメンから外れた。コービー・ホワイトが先発ポイントガードとして上々のプレーを見せ、カーターがシューターとして意外な才能を見せてはいるが、チームの核となるべき選手たちのパフォーマンスが上がらないのでは勝利は望めない。

十分な戦力があって勝てていないにもかかわらず、フロントが手をこまねいている場合には、選手がしびれを切らしてトレードを要求するものだが、ブルズの結束は固く、選手たちは不満を漏らすことなく戦っている。だが今回『The Athletic』が、ブルズがラビーンのトレードを検討し始めたと報じた。

2017年オフにジミー・バトラーとのトレードでラビーンが加入して以来、ブルズのエースであり続けている。昨年に5年2億1500万ドル(約320億円)の大型契約を結んだばかりだが、28歳でこれから全盛期を迎える彼はブルズにとって最も市場価値の高い選手。彼を放出すれば、今シーズンが契約最終年で34歳のデローザンも去り、いよいよチームは解体される。

ラビーンは開幕の時点で次のように覚悟を語っている。「正念場だという認識はあるよ。僕らはもう3年目だ。デマーもブーチ(ブーチェビッチ)も僕もトレードは経験済み。NBAのビジネスは理解している」

ラビーンを欲しがるチームは多いだろうし、デローザンを今シーズン中に加えたいと思うチームも出てくるだろう。アレックス・カルーソも古巣レイカーズを筆頭に興味を持つチームは多い。

かつてラビーンは『NBC SPORTS』に「火のない所に煙は立たぬ、と言うけど、いつも煙が多すぎると思うよ」と語った。今オフに契約を結んだ選手がトレードできるようになる12月15日までは静かだろうが、そこから2月8日のトレードデッドラインに向けて、ブルズ周辺には煙が立ち込めることになりそうだ。