補強はなくても連携の変化でディフェンス力に磨き
シーズン序盤で首位に立った西のナゲッツ、東のセルティックスにそれぞれ唯一の黒星をつけたのがティンバーウルブズです。まだ開幕から6試合ですが、リーグトップのレーティングを誇るディフェンスは、昨シーズンまでとは一味違うウルブズの特徴になっています。
ジェイデン・マクダニエルズやカイル・アンダーソンといったウイングディフェンダー、そして何より3度のディフェンシブ・オブ・ザ・イヤーに輝いたルディ・ゴベアと優れたディフェンダーが揃っているチームだけに、個々のマッチアップで負けないのがウルブズの特徴です。特にマクダニエルズは長い手足と俊敏なフットワークを生かして相手エースを抑え込む能力が高く、リーグトップのエースキラーへと成長してきました。
しかし、昨シーズンから顔ぶれが変わったわけではなく、今シーズンの特徴はチームとしての変化にあります。最大の変化はフリースローでの失点が6.2点も減少したことで、特にゴベアとカール・アンソニー・タウンズ、そしてナズ・リードのセンター陣がファウルせずに我慢強く守るようになってきました。ツインタワーが特徴のウルブズですが、昨シーズンはリムプロテクト力が高いようで無駄なファウルも多く、ペイント内で簡単に失点していましたが、今シーズンはブロック数を落としながらもリーグで3番目に少ないペイント内失点と高さの利を生かせています。
ただし、そのツインタワーの連携にも変化がありました。タウンズとリードはセンターといっても積極的にプレッシャーをかけ、3ポイントラインの外まで追いかけるシーンが増えており、ゴール下を守るゴベアとの役割分担がはっきりしました。ツインタワーらしさがなくなった代わりに、マクダニエルズやアンダーソンのカバーディフェンスが増えており、ゴベア以外はポジションレスに守る傾向が出てきています。
昨シーズンを思い返すと、マクダニエルズはシーズン最終戦のハーフタイムに通路の壁を殴って骨折してプレーオフを棒に振り、そのプレーオフでもタウンズとゴベアが2人とも退場して終戦となりました。ハードな戦いの中で我慢できないメンタリティの弱さがウルブズの課題でしたが、開幕直後からその反省を生かした戦い方ができています。
補強に頼ることなくディフェンスを改善したことは、チームとしての大きな一歩ですが、充実した戦力を誇りながら安定感を欠くのもウルブズらしさなだけに、まだまだ信用はできません。ディフェンスのチームとしての継続性を見せてほしいところです。